NEXCOは「高速道路の渋滞」を「40km/h以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が1km以上かつ15分以上継続した状態」と定義する(写真出典:PaylessImages/123RF)。

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「渋滞」が風物詩のゴールデンウィーク。今年2016年は新東名の延伸による“ダブルネットワーク化”が進みましたが、なぜ10km以上の渋滞発生回数が昨年より多いと予想されているのでしょうか。また近い将来、「渋滞」はゴールデンウイークの風物詩ではなくなるかもしれません。

実はそれほどでもない「35kmの渋滞」

 ゴールデンウイーク(GW)が始まりました。GWといえば「渋滞」が風物詩のひとつですが、今年はいまのところ、どうでしょう。

 GW前半・下り渋滞のピークと予想された2016年4月29日(金・祝)。渋滞はおおむね「渋滞予報カレンダー」の予想通りで、最大でも東名・伊勢原バス停を先頭にした35kmでした。「35kmの渋滞」というと、未経験の人には地獄に聞こえるかもしれませんが、通過所要時間は約1時間半。現在の自然渋滞は平均して25km/h程度で流れるため、それほどの苦痛ではありません。

 また今年2016年は、2月の浜松いなさJCT〜豊田東JCT間の開通で、新東名の御殿場以西が全線開通して初のGWです。東名高速は、かつて154kmの渋滞(1995年年末)も記録した超混雑路線ですが、新東名の延伸開業による東名・新東名の“ダブルネットワーク化”は、渋滞緩和の大きな材料です。

 4月29日(金・祝)には静岡県内の新東名・平島トンネル上り線内で車両火災が発生し、7時間も通行止めになりましたが、東名への迂回誘導により、それほどひどい渋滞になりませんでした。

しかし今年の渋滞回数は増加の見込み なぜ?

 ただ、2016年のGW渋滞予報によれば、10km以上の渋滞が発生する回数は352回で、昨年実績の296回を大きく上回っています。これはなぜでしょう。

「昨年同時期(2015年4月28日〜5月8日)は、大型連休としては5連休が1回であったのに対し、今年は3連休が2回、2連休が1回と休日が多いこと、また、昨年はGWの後半に天候不良による出控えがあったと考えられることから、今年は昨年と比べ渋滞が多くなる予想となっております」(NEXCO中日本広報室)

 つまり原因は「休日の並び」と「天候」ということです。

 GWなどの交通集中期における渋滞は、年々緩和される傾向にあります。その理由は主に次のふたつです。

(1)利用の分散化
(2)渋滞対策の進捗

(1)の「利用の分散化」は、社会的な休日の分散化もありますが、的中率およそ8割を誇る「渋滞予報カレンダー」の浸透により、利用者側に渋滞を避ける意識がかなり広まりつつあることも一因でしょう。実際、GW渋滞を避けるには、日付や時間帯をずらす以外に有効な対策はありません。

(2)に関しては、新東名の開通がその好例です。2018年度には新名神の四日市〜亀山西JCT間が開通予定。これで東名阪道の恒常的な渋滞も解消されるはずです。

「GW渋滞」は順次解消、「過去のできごと」に?

 関西最大の渋滞ポイントである中国道・宝塚トンネルをネックとした渋滞は、2016年度末が開通目標の新名神・高槻JCT〜神戸JCT間の開通により、解消されるはずでした。「でした」というのは先日4月22日(金)、この区間の建設現場で、橋桁が落下する大事故が発生したからです。これにより、開通はかなり遅れることが予想されます。

 しかし、遅くとも2024年度には大津JCT〜高槻JCT間も開通し、新名神が全線完成。これで中京圏と関西圏における高速道路の交通集中渋滞は、ほぼ解消されるはずです。つまり8年後には、GW期間中に大きな渋滞が発生するのは首都圏だけになると考えられます。

 となると、「いまのうちにGW渋滞を満喫しておこう」という考えかたも、ないことはない……といえるかもしれません。今年のGW渋滞のピークは、下り線が5月3日(火・祝)、上り線が5月4日(水・祝)です。