こうした後半の出来は、90分間を通したマネジメントがハマった形で、長友も「狙い通りだった」という。かつての日本代表は、一本調子のパスワークにこだわり、ともすればカウンターからピンチを迎える危うい試合も少なくなかった。だが、今のチームはリスクをできるだけ排除し、勝利にこだわる戦い方を表現できている。
 
「前半からやるべきだったかなと思うんですけど」と本田が言うように、前半のうちに立て直すのが理想とはいえ、ハーフタイムで修正し、最終的に勝利に結びつけたのはチームが前進した証だとも取れる。試合の展開を読みながら勝負の時間帯を待つ戦いぶりが、徐々に共通理解として浸透しつつあると言っていいかもしれない。
 
 焦点はこうした戦いぶりを今後も継続できるかだ。勝って当然の2次予選だけでなく、例えば次の親善試合・イラン戦でも同じような試合巧者ぶりを披露できれば、それは確実にチームのレベルアップにつながる。6人交代の親善試合はテストの意味合いが濃く、真の意味での日本の現状は計れないとしても、勝利にこだわった戦い方やベーシックな戦術の確認はできるはずだ。
 
 押し込まれている時は割り切って全員で守備を固め、「ここぞ」というタイミングでギアを上げて相手を飲み込む。そうした90分間を通したゲームマネジメントを、イランでも見せてもらいたい。
 
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェストWeb)