【米国はこう見ている】“キースターター”岩隈を手放さなかったマリナーズ わずかに残るトレードの可能性とは?
証明された岩隈への信頼
マリナーズの岩隈久志投手が今オフにトレードされる可能性はほぼ消滅した。右打ちの強打者を補強ポイントとしていたチームは、オリオールズからフリーエージェント(FA)となったネルソン・クルーズ外野手と4年総額5700万ドル(約68億円)で合意。レッドソックスの強打者、ヨエニス・セスペデス外野手を獲得するためにトレード要員になる可能性もあると見られていた岩隈だったが、クルーズを補強できたことで、その必要はなくなった。
実際のところ、マリナーズはフェリックス・ヘルナンデス投手と先発2本柱を形成する右腕を放出するつもりはなかったようだ。ただ、来季が契約最終年となり、シーズン終了後にはFAとなる岩隈が、来年7月31日のトレード期限までに放出される可能性は残っている。
ESPNは「トレードされる可能性のある2015年のFA投手」と題した特集記事を掲載。現時点からトレード期限までにトレードされる選手のリストで、岩隈の名前はジョニー・クエト(レッズ)、ジョーダン・ジマーマン(ナショナルズ)、デビッド・プライス(タイガース)、ジェフ・サマージャ(アスレチックス)という各球団のエース級投手に続き、5番目に登場している。
「マリナーズはネルソン・クルーズとサインしたことで、おそらく岩隈をトレードさせないだろう。レッドソックスは彼と引き換えに余剰な外野手をトレードさせたかったようだが、マリナーズは賢明にもキースターター(先発の軸)の1人である岩隈をキープすることを決めた。現時点で彼をトレードさせる唯一の方法は、もしもマリナーズが優勝争いから脱落して(7月31日の)トレード期限を迎えた場合だ」
記事ではこう説明している。
2001年以来のプレーオフ進出を狙うマリナーズは、今季はわずかに手が届かなかった悲願達成に向けて岩隈を必要不可欠な戦力と考えている。ただ、仮に前半戦で失速してしまうような場合には、シーズン終了後に契約が切れる主力選手を放出するのはメジャーの常識。優勝争いを繰り広げているチームにとって、岩隈のように計算できる先発投手は喉から手が出るほど欲しい存在であり、マリナーズもその見返りとして若手有望株を獲得できる。
いずれにせよ、マリナーズが岩隈をどれほど大切な存在だと認識しているかは、今オフの動きで証明されたと言えるだろう。チームが来季もプレーオフ進出争いを繰り広げ、岩隈を渋々、手放すような状況にならないことが望まれるが、どうなるだろうか。