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●6月から8月にかけて囲い込み施策今年も最新のiPhone 6(まだ正式名は発表されていないが)が9月以降に順次販売開始されると噂されている。一般に、iPhoneは発売直後に買うのが一番お得だといわれるが、一方で新製品発表直前はユーザーをつなぎ止めるための施策が出やすく、購入のタイミングがやや難しくなりつつある。このあたりを改めて検証してみよう。

iPhoneの特徴の1つとして、中古端末の買い取り価格が比較的安定しており、新製品が出るまでの間であれば高値買い取りが期待できるというのがある。販売価格についても販売開始直後から「実質0円」のほか、一括購入価格も1年間ほとんど変動がないため、発売直後のタイミングで飛びついても損することが少ない。「在庫処分」での端末安売りを見極める必要がないため、買うタイミングも「ほしいときが買い時」と非常にわかりやすい。

ただ、最近では新製品切り替わりの時期を狙って在庫整理と思われるキャッシュバックや値引きキャンペーンが展開されているケースも多く、発売後半年以降、さらに新製品が出る直前の6〜8月くらいのシーズンでは機種変更ユーザーを狙った好条件での囲い込み施策も見かけるようになった。

iPhone 4S発表以降、夏にあたる第3四半期(7〜9月期)はiPhoneの売上が世界的に見ても最も落ち込む時期で、直後の第4四半期(10〜12月期)はiPhoneの売上が最大になるというサイクルを繰り返している(データを見る際にAppleの会計年度では10〜12月期が"第1四半期"になる点に注意したい)。

日本の場合、iPhoneは全スマートフォン販売の半分近いシェアがあり、最近ではさらに機種変更やMNPを使ってiPhone内で端末を乗り換えていくケースが顕著だと思われる。ゆえに各キャリアが谷間となる第3四半期の時期に、いろいろ仕掛けてくるというのはある意味で当然の対応だ。

●今年は別の事情が……そしてもう1つ、今年は別の事情がある。キャリア各社が基本料金見直しに着手し、通話定額導入による一種の"値上げ"に転じたことが話題になった。

それを受けてか、ソフトバンクはこれまで同社躍進の原動力の1つだったホワイトプランの8月31日での新規申し込み受付を終了する。iPhoneや4G LTE対応端末が対象の施策であり、既存契約者は機種変更でも引き続きホワイトプランを利用できるとしているが、iPhone 6を対象とした契約条件はまだ提示されておらず、場合によっては割賦契約などを結んで新端末の「実質0円」購入する際に新プランへの移行を提示される可能性がある。

同種のアナウンスはNTTドコモも行っており、8月末での既存プラン受付を終了する。auのKDDIでの既存プラン廃止は2015年2月と少し猶予があるが、iPhone新製品発表直前での既存プラン廃止に、何かしらの意図が感じられるのは気のせいではないだろう。

以上を踏まえると、今回9月での発表が噂される新型iPhoneの購入は、前述のように契約条件悪化の可能性のほか、本体サイズの大型化による本体価格上昇の可能性も示唆されているなど、選択が非常に悩ましい。

●OSのアップデート対象も考慮するもし現状のiPhoneが気に入っていて本体サイズもそのままに使いたいのであれば、諸条件が適用されて比較的安価に入手できるいまのタイミングでの現行機種購入もいい手にみえる。

Appleは基本的にiPhoneで最新のアップデートを提供して機能を一通り利用できる範囲を過去2世代程度までに絞っている。現在はiPhone 4Sが現行モデルの2世代前にあたり、本来であれば秋頃のリリースが見込まれる「iOS 8」は提供対象外となる可能性があった。だがiOS 8はiPhone 4Sを引き続きサポート対象としており、サポート期間が3年に延びるなど、以前よりはOSのサポートサイクルが長くなっている印象だ。

サポート期間が2年ということになると、iPhoneの現行モデルを新製品が発表される直前に購入した場合、2年契約縛りで残り1年分は最新OSやアップデートが利用できない可能性が出てくる。だが3年サポートということになれば、少なくともいまのタイミングでiPhone 5sを購入しても、2年縛りが切れるタイミングで端末が極端に陳腐化している可能性は低くなる。

(Junya Suzuki)