競争の中で変わったiPhoneとAndroidの違いの常識

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iPhoneの日本国内シェアが67%と7割近くに達した調査結果がIDC Japanから発表された。一方で、世界的なシェアでは、Androidが78.6%と8割を占め、iOSの15.2%を圧倒している、

iPhoneAndroidは、言うまでもなく世界を代表するスマートフォンであり、ライバルだ。この2つのスマートフォンは、登場以来、激しくしのぎを削り今にいたっている。競争を続けてきた両端末の違いとは、どこにあるのだろうか。

一般の人にiPhoneAndroidの違いを聞くと「iPhoneは直感的で使いやすい」、「Androidは操作や設定が難しい」といった意見をよく聞く。一方で、iOSの高機能化、Androidの操作性やデザイン改良など、両者の違いは減ったという専門家やモバイルユーザーからの声もある。

●そもそもスマートフォン本体に違いはあるのか?
まずはハードウェアである本体を比べてみよう。スマートフォンの頭脳とも言えるCPUでは、iPhoneが一歩先を進んでいる。iPhone 5sに搭載されているCPUは64ビットアーキテクチャのA7チップだ。

対してAndroid最新のGALAXY S5でも32ビットアーキテクチャの2.5GhzクアッドコアCPUとなっている。これは、まだスマートフォン用の64ビットプロセッサが量産段階に至ってないことが大きな要因だ。量産化されれば、Android端末の64ビット化が進むとも言われている。また、現時点で、64ビット対応のアプリケーションは少なく、まだ十分に性能を活かせてはいないため、まだ大きな差とはなり得てはいないという意見も多い。

CPUでは優位を誇ったiPhoneだが、ほかの面ではAndroidが優位性を誇る。
5インチを超える液晶サイズ、フルHD解像度、2Gバイト以上のメモリ、大容量バッテリー搭載、NFC対応、防水防塵機能、国内のみでの電子決済、ワンセグ・フルセグ対応などという機種も存在するからだ。

●歩み寄るライバル ソフトウェア(OS)の違いが縮まる?
iPhoneはiOS、AndroidはGoogleが提供しているAndroid OSが採用されている。
シンプルで初心者でも直感的に使える。誰もが簡単に使えるというイメージで登場したのが、iPhoneに搭載されているiOSだ。
しかし、この秋にiOS8が公開されるiOSは、初期のシンプルな操作から多くの機能が追加されている。特に、通知機能やメニュー、アニメーション画面、ウィジェット、マルチタスク機能、他社製キーボードやIME利用対応など、Android OSなどのライバルで提供してきた機能も追加されており、初期の簡単、シンプルというイメージとはだいぶ様変わりしている。

一方のAndroidは、パソコンのような多機能と階層化したファイル管理など、パソコンに詳しい人には好まれる反面、一般の携帯電話ユーザーには、ハードルが高いことは否めない。しかし、そのAndroid OSも現在ではGoogle Nowや通知機能やメニュー、共有機能などに加えて、アイコンやホームデザインも見直されており、iOS的なデザインも多く取り入れている。

基本操作の違いはあるが、両者は皮肉にもライバルの良いところを吸収し合いながら、お互いの距離を近づけており、差異は少なくなってきている。

●アプリの優劣は過去のもの?
iPhoneAndroidで大きな差は、対応するアプリと言われてきた。しかし、それも過去のものとなっている。

iPhoneは「App Store」、Androidは「Google Play ストア」から専用アプリをダウンロードする。2014年6月時点のアプリ収録数はAppleが120万件を超え、Googleも約150万件に達した発表されており、アプリ数での大きな差は無くなっている。また、最新のアプリのリリースも、iOS版とAndroid版が同時提供されるケースが主流となっており、アプリによる差別化も難しくなった。

唯一違いがあるとすれば、Appleは一般ユーザーにApp Store以外でのアプリの配布・提供・インストールは認めていないのに対し、GoogleはGoogle Play ストア以外でのアプリの配布やインストールを制限付き(設定で変更可能)で認めているくらいだろうか。

●端末種類と周辺機器対応には大きな差?
多くの面で差がなくなりつつあるiPhoneAndroidだが、機種と周辺機器だけは、まだ大きな差がある。
大きな差を生み出しているのが、本体のデザイン(サイズ)と機種の数だ。特にケースや液晶保護アクセサリー等といったサイズやカタチに依存する製品は、本体サイズが統一されてきたiPhoneの方が対応周辺機器が多い。一方、Androidは、機種毎にサイズが異なるため、人気機種以外の対応製品が少ない。

とはいえ、iPhoneにも充電や同期のコネクタ仕様には問題を抱えている。iPhoneのコネクタには独自規格のiPhone 4s以前のドックコネクタとiPhone 5以降のLightningコネクタという2種類が存在する。一方、Androidは、汎用のmicroUSBでほぼ統一されている状況だ。

microUSBのケーブルや充電器は入手しやすいが、性能面ではUSB3.0や挿入方向に制限がないAppleのLightningコネクタに軍配があがる。入手しやすさ、低価格なAndroidのmicroUSBのほうが有利とも言える。

また欧州連合(EU)加盟では携帯電話の充電端子を新microUSBに統一されることが正式決定されており、Appleの対応が注目されている。Appleがこれに従うことになれば、コネクタの差もなくなることになるが、現時点でのAppleの対応は発表されていない。

自他ともに認めるライバルのiPhoneAndroid。スタートは大きく違った両者だが、切磋琢磨を経て、差がどんどん小さくなってきている。

両者の戦いは、まだ現在進行形だ。これからも、双方の良い点を取り入れつつ進化していくことだろう。「iPhone」か「Android」か、という競争自体が意味のない時代は、そう遠くないのかも知れない。


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甲斐寿憲