『収容病棟』

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ワン・ビン監督の最新作『収容病棟』が、6月28日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で公開される。

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「精神病患者1億人」と言われる中国。同作は南西部の雲南省にある精神病院に密着した2部構成のドキュメンタリーとなる。同病院には、暴力的な振る舞いをする者や、法的に精神異常とみなされた者、薬物やアルコール中毒者に加え、政治的な陳情行為をした者や「一人っ子政策」に違反した者なども「異常な振る舞い」を理由に入院させられており、200人を超える患者の中には20年以上入院している者もいるという。

前編では、氏名不詳で収容されている収容6年の通称「ヤーパ」や、ひたすら家を恋しがる青年マー、施設に来たばかりにもかかわらず騒ぎを起こした罰として手錠をかけられるインらの生活を追いながら、自由のない男性患者病棟で展開される日常を描く。後編では、階下の女性患者と心を通わせるプーや、夫が12年間収容されているマー夫婦ら、患者の生活の中で起こるドラマに迫りながら、帰宅措置となり貧しい家に帰った青年ジューに同行し、病院に収容されていることが「ある者には残酷でも、ある者にはむしろ幸福とも言える」という事実を映し出す。

監督のワン・ビンは、『三姉妹〜雲南の子』で『ヴェネチア国際映画祭』オリゾンティ部門グランプリなど数々の賞を受賞。今年4月からはフランス・パリのポンピドゥーセンターで回顧展が開催されている。なお、『収容病棟』はワン・ビンにとって初の日本との共同製作作品となる。