日本代表がサンドニでフランスに勝利した。押し込まれながらも、終盤に鮮やかなカウンターで1点をもぎ取った。見事なゴールだったね。

 素晴らしい結果であることは間違いないが、試合内容を見れば、今の日本の力がよく表されたものだったように思う。特に前半、日本はなかなかボールを前に運べなかったけど、引こうと思って引いていたのではなく、しょうがなく守備に比重を置くしかなかった。やはり力の差があったことは否めなかった。

 ただし、それは戦った選手たち自身もよくわかっていることだろう。試合後のコメントを見聞きしていると、本人たちはいたって冷静に、しっかりと力の差を分析し、まさに勝って兜の緒を締めていた。11年前からもっとも進化したのは、このメンタリティの部分ではないかな。

 MVP級の活躍だったのは川島と長友だ。川島のセーブがなければ最後の得点は生まれていなかったし、長友は個の力でも相手を上回っていた。また、得点につながったカウンターの場面では、香川を含む2枚が前線に残り、ドリブルで持ち上がった今野、アシストした長友の他にも、内田が猛然と上がっていった。格上と言われる相手に対し、引き分けではなく最後まで勝ちを狙いにいっていた証左だろう。

 しかし、繰り返すが決して満足していいものではない。今回の試合にしろ、ロンドン五輪、南アフリカW杯でもそうだけど、相手のレベルが上がると、やはりディフェンシブにならざるをえない、まだまだ対等に戦えないというのが、現在の日本の力だ。もっともっと遠征に出る機会を増やし、強豪との対戦を繰り返して強化していくべきだ。

 その意味では、次のブラジル戦も否応なく重要なものになる。ブラジルはフランスよりも巧い。引いた相手を崩す術をフランスよりも持ち合わせているから、そこで日本がどう戦えるか。対等にできる時間帯、回数がどれだけあるか、というのが評価のバロメーターになるだろう。