スポーツフィクション:「逆転ツーラン振り逃げを生んだ『榎田の23球』」
まずは、ルールのおさらいからです!

野球におけるセーブとは何か。もちろん抑え投手が出てきて、試合を逃げ切ったという話なのですが、セーブ成立にはいくつかの条件があります。まず勝利投手の権利を持たないこと(勝利すると救援勝利となる)。勝ったチームの最後の投手であること。1/3イニング以上投げること(ひとつはアウト取らないと救援になってない)。という大前提があったうえで、細かい成立条件があります。

まず、3イニング以上投げて逃げ切れば何点差であろうがセーブがつきます。昔の救援投手は6回、7回から登場することがあったのはこの規定によるところでしょう。そして、3点差以内の場合は1イニング以上投げること。これが現代の抑え投手の出番の基本です。そして、「2者に本塁打を打たれたら同点・逆転される状況」なら1つ以上アウトを取って試合を終わらせればOK。9回裏2アウト満塁の状況なら、5点差での登板でも逃げ切ればセーブがつきます。

もうちょっとルールの話をつづけます。

それでは野球における振り逃げとは何か。3ストライクを取られていわゆる三振をしたときでも、捕手がちゃんと捕球できていないと、打者がただちにアウトにならない…これが振り逃げです。この場合は、打者にタッチするか、打者走者が1塁に到達する前に送球すればアウトとなります。ちゃんと三振はしているので、記録上は打者の三振(投手の奪三振)と、投手の暴投または捕手の捕逸が記録されます。

まず3ストライクを取られること。その投球を捕手がちゃんと取れないこと。そして、一塁に走者がいない、もしくは二死であること。というのが振り逃げの大前提。一塁に走者がいると、「打者三振→捕手がワザとポロッとこぼす→振り逃げの権利発生→捕手は二塁に投げてフォースアウト→一塁に転送してフォースアウト」というダブルプレーを狙えるので、そうしたプレーが可能になる状況では、打者はただちにアウトとなります。もちろん、打者がアウトとカンチガイしてベンチに引っ込んでしまったりしたら、その時点で振り逃げは不成立となります。

という、お勉強が済んだところで、3日に行なわれたプロ野球「広島VS阪神戦」での二死走者ナシからの逆転ツーラン振り逃げについてチェックしていきましょう。