――コリン・クラーク役のエディ・レッドメインについて

ミシェル:エディの演技を初めて見たのは、ニューヨークで上演されていた「Red」という舞台劇を観に行った時でした。私は彼について何の予備知識もなかったので、彼自身も役と同じアメリカ人なんだと思い込んでしまったんです。それほど彼の演技は素晴らしかったんですよ。実は彼がイートン校出身のイギリス人で、コリン・クラークと似たような経歴の持ち主だなんて思いもしなかったわ。エディとコリンは、生まれ育った環境が驚くほど似ているんです。「Red」で演じた役とこの映画で演じた役はまったく違いますが、エディは変幻自在の演技派なので見事にコリン役を演じています。エディほどコリン役にふさわしい俳優は、ほかにいないでしょうね。

――ローレンス・オリヴィエ役のケネス・ブラナーについて

ミシェル:撮影現場でも控室でも、ケネスは常にムードメーカーでしたね。私とケネスは自分が演じる人物の表情や話し方を研究しなければならなかったので、コンピューターの前に座っている時間が長かったんですよ。ケネスは私に素晴らしいアドバイスをしてくれました。撮影現場で私がタイトなドレスと大きなカツラを身につけたまま立っているのを見て、ケネスは「ダーリン、きみにいいことを教えてあげよう。立ってなんかいないで、座ればいいじゃないか。なんだったら、寝転んでもいい。待ち時間はラクにしていればいいんだよ」と言ってくれたんです。確かに、エネルギーを温存するためには立っているより寝転んでいたほうがいいですよね。私はほかの映画の撮影現場でも、ケネスのアドバイスを実践しているんですよ。

――マリリン・モンローは、男性にとってセックスシンボルというイメージが強いけど女性のファンも多いです。映画を見てない人ですら、「かわいい」という印象を持ちます。「ビューティフル」とは違うと思いますが、あなたの解釈はどうですか。なぜ彼女は性別を超えて私たちに愛されるのだと思いますか?

ミシェル:マリリンはたった一枚の写真でいろんなことを表現できる女性だったと思う。だから人を惹きつけ、不朽の魅力がある。それと、彼女のどの写真が好きかは男性と女性とで別れる。私も幼少の頃、マリリンの写真を寝室に飾っていたのだけど、胸元の開いたドレスを着てセクシーな眼差しをこちらに向けるよくあるマリリン像ではなくて、裸足で芝生の上を駆けまわる写真だったの。マリリンはそうやって自覚なしに色気を放つことがあったのだと思う。彼女の色気には、親しみやすさ、無垢、少女らしさがあった。珍しい組み合わせだと思うわ。

――映画の中での、ダンスシーン、セリフないのに強いインパクトでした。どんな気持ちで演じていたか覚えていますか?

ミシェル:ダンスシーンは確か2、3か所あったはず。その一つは『王子と踊り子』のダンスで、そのシーンでは、そのままそっくりマリリンのダンスを再現しなければならなかった。だから『王子と踊り子』は50〜60回ほど見たわ。オープニング映像のダンスシーンは、彼女がよくやる動きやその他の振付にインスパイアされたもので、彼女が実際にやったパフォーマンスに基づいてはいないからある程度自由が効いた。歌と踊りは12歳以来だったから、まるで習いたての子供のように取り組んだの。幸い振付師にちゃんとついてもらったから自分一人で考える必要はなかった。