確かにチーム躍進の原因を考えれば、ゲームを組み立てる町田也真人、庄司悦大というセンスの高い選手がいたことは見逃せない。そして急成長を果たした長澤和輝、そして最上級生となった松本陽介など、どんな場面でも「勝負」できるタレントが今年は見事に揃っていた。

しかし、タレントが揃っているからと言って勝てるのかと言われればそう簡単ではない。そのタレントや個を引き出す、そして成長させる手腕とビジョンがなければチームは進化していかない。そんな中で、一気に今年華開いた専大のサッカーと言えば、イケイケな攻撃サッカー。そしてその攻撃サッカーはまさしく川崎フロンターレのサッカーそのものであった。

源平監督と言えば、フロンターレの前身である富士通川崎時代に活躍した選手(川崎フロンターレとなって2年目の1998年シーズンで現役引退)であり、現在でも富士通の社員の一人である。しかし、フロンターレとの関わりは今なお続いており、関塚隆氏(現U-22代表監督)が作り上げたサッカーを、大学サッカーというカテゴリーでも体現したいという思いの元、指導を続けてきた。

また、源平監督だけではなくコーチもフロンターレ関係者が在籍しており、その流れからフロンターレU-18出身選手も専大サッカー部の門を叩いている。このように、フロンターレの流れを汲む専大が、3トップ(気味)、そして攻撃サッカーを目指したのは必然でもあった。かつて、我那覇、ジュニーニョ、チョン・テセ、レナチーニョといった蒼々たる攻撃陣を揃えて躍進したチームと、今年の専大は非常にかぶるものがある。そしてボランチの庄司はさしずめ、中村憲剛といったところか?

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また、当初は攻撃力は非常に光る物はあるが、守備に難がある… といったところもフロンターレに似ていた部分だが、こちらも本家同様、力を着けると同時に守備も安定。後半戦において守備の要となった鈴木雄也、栗山直樹のCBはまだ3年生であり、来年も活躍も期待されるところだ。フロンターレ流の攻撃サッカーを植え付けた首脳陣。そして練習から「しっかりシュートを打て!」と厳しく下級生に指導するなど、リーダーシップを発揮した4年生、そしてこの先が期待される数多くの下級生が揃い、実にバランスの取れたチームに成長した専大。

ここ数年の優勝チームを見てみると、どちらかというと最初から「強い」と前評判の高かったチームが優勝してきたが、今年は勢いと成長という、これまでとは違ったキーワードが優勝に結びついた関東大学サッカーリーグ(まだ優勝は決定してはいないが、事実上専大の優勝は決定的)。新興勢力の躍進と同時に、今年は名門校が軒並み大苦戦。上位の常連であった国士舘、中大は下位に低迷し、駒大に至ってはまさかの2部降格と、明らかに大学サッカーの「流れ」が大きく代わろうとしている。

ただ、優勝チームの勝ち点が40を超えないのも、ちょっと格好が付かないので、なんとか最終戦の神大戦は勝って欲しいものだが、源平監督は試合後、にこやかに「間逆(攻撃サッカーと守備サッカー)の対決ですから、簡単な試合にならないでしょう…」と語ってくれたが、なんとか最後はしっかり勝って優勝を決めてインカレに挑んで欲しいものである。

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そして、関塚氏の遺伝子を引き継ぐ専大の攻撃サッカーが、全国の舞台で躍進するところも是非とも見てみたい。

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関東大学サッカーリーグ
第21節 @フクダ電子アリーナ
筑波大学 0-3 専修大学
[得点者]
24分栗山、29・90+3分長澤(専大)
[警告]
79分赤崎(筑波大)
59分玉田、73分東(専大)

[ゲームスタッツ]
シュート数:筑波大6、専大17
ゴールキック:筑波大15、専大7
コーナーキック:筑波大2、専大8
直接FK:筑波大12、専大15
オフサイド:筑波大1、専大0
PK:筑波大0、専大0