クラウドストレージサービスを手がけるBackblazeは、合計28万台を超えるドライブを運用しており、四半期ごとにメーカーやモデルごとのストレージデバイスの故障率を公開しています。2024年11月12日にBackblazeが公開した2024年第3四半期のレポートでは、使用台数が少ないモデルや運用日数が短いモデル、メーカーが仕様としている動作温度を超えてしまったドライブなど471台を除外した28万8076台のドライブの年間故障率(AFR)が報告されました。

Backblaze Drive Stats for Q3 2024

https://www.backblaze.com/blog/backblaze-drive-stats-for-q3-2024/

まず、以下は2024年第3四半期のAFRです。今期のAFRは1.89%で、前期の1.71%から上昇しました。運用台数と日数が少ないためあくまで参考値ですが、Seagateの14TBHDDであるST14000NM000Jは平均7.4カ月の運用の中で1台も壊れませんでした。一方、Seagateの12TBHDDであるST12000NM0007は平均58.4カ月の運用により11.77%が脱落しました。



AFRの上昇は、4TBドライブの老朽化のせいではなく、Backblazeが社内の移行システムを使って4TBドライブを大容量ドライブに交換する作業を進めているからだとのこと。交換されなかった4TBドライブの今期のAFRは0.26%でした。

故障率を押し上げた主な要因は平均7年間以上運用されている8TBドライブ群で、8TBドライブのAFRは前期の2.31%から今期は3.04%へと上昇しています。

ドライブ障害の性質をメーカーごとの表にまとめると以下のようになります。「リアクティブ障害」は、ドライブがクラッシュしたり動作不能になったりした障害のことで、「プロアクティブ障害」はそれ以外の障害です。

メーカーリアクティブ障害プロアクティブ障害合計障害数リアクティブ障害率プロアクティブ障害率HGST19417737152.3%47.7%Seagate25827253048.7%51.3%東芝12422134535.9%64.1%WDC645111555.7%44.3%

今期には、29のドライブモデルで1361件のドライブ障害が発生しており、そのうち47%にあたる640件がリアクティブ障害、残りの721件がプロアクティブ障害でした。

Backblazeはドライブの寿命にまたがる生涯故障率も公開しています。期末時点で500台以上が運用されているモデルのドライブで、寿命中の累積日数が10万日以上のものが対象となっています。基準外のものを除外した結果、25モデル28万6892台のドライブが分析対象として残りました。



ドライブの生涯AFRは前期の1.47%から1.31%へと低下しました。

期間ドライブ数日数故障生涯AFR2024年第2四半期28万30654億6921万94691万89491.47%2024年第3四半期28万68923億9847万69311万43081.31%