新入幕会見で笑顔を見せる獅司

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 日本相撲協会は28日、大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の番付を発表し、獅司(雷)がウクライナ出身では初の新入幕を果たした。福岡市の部屋宿舎で会見した27歳は、心境などを問われると「“うれしし”です」とお気に入りのフレーズを連発。喜びの笑顔を振りまいた。

 初土俵から約4年半。戦時下にある故郷の両親には、関取になる以前から手当の半額を仕送りしてきた。幕内は月給140万円で、十両より30万円アップ。さらなる親孝行へ「ママ、パパ、大変だから、獅司頑張らないといけない。幕内に上がって、いっぱいお金をウクライナに送って頑張ります」と意気込みを新たにした。

 直近の2場所を連続勝ち越し。雷親方(元小結垣添)の夫人で、おかみさんの栄美さんの助言が効いた。日大出身の栄美さんは、女子相撲の重量級で3度の日本一に輝いた実績の持ち主。左上腕を負傷して右四つで精彩を欠いていた獅司に、自身が得意としていた左四つを教えたところ、目に見えて相撲内容が改善した。

 雷親方は「僕は知らなかった。女房がアドバイスして、それがいい方向にいった」と笑いながら説明。昨年2月に部屋を継承してからは、家族感を大事にしてきた。その方針が弟子の成長につながった格好。獅司も「雷部屋はみんなファミリー。楽しく稽古して、親方とおかみさんにどういう相撲をとるか、教えてもらって頑張りました」と笑顔で胸を張った。

 雷親方にとっては部屋継承後、初めての新入幕力士。「ホントに“うれしし”ですね」とジョークを飛ばしつつ「スターになる可能性があると思っていた。ホッとしています。幕内に上げるのが自分の仕事だと思っていたのでよかった」と喜びをにじませた。さらに「幕内に上がればチャンスがある。三役に上がれるように」とハッパ。まな弟子の飛躍に期待を寄せた。