1位指名で5球団が競合となった明大の宗山塁(るい)(時事通信フォト)

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 パンチョ伊東さんが生きていたら、ノーミスで読み上げることができただろうか……。そんなふうに感じながら今年のドラフトを見たプロ野球のオールドファンもいたのではないだろうか。

【読み方の正解一覧】西川「史礁」はなんと読む?下の名前が難読なドラフト指名選手、あなたは何人読めるか

 元パ・リーグの名物広報部長で、パンチョのニックネームで親しまれた伊東一雄さん(2002年没)は独特の声と調子で指名選手を読み上げることでドラフト会議を盛り上げたが、10月24日に都内で行なわれた「2024年プロ野球ドラフト会議」では、下の名前が簡単には読めない選手が次々と指名された。

 支配下選手69人、育成選手54人が指名された今回のドラフト。1位指名で5球団が競合となった明大の宗山塁(るい)、4球団が競合した関大の金丸夢斗(ゆめと)はまだ読みやすいが、そこから先は次々と下の名前が難読な選手が登場した。

 

「暖」の読み方は3通り

 1位指名のなかでも日本ハムが外れ1位で獲得した福岡大大濠の柴田獅子は「れお」と読む。オリックスが3位で指名した仙台育英の山口廉王も、下の名前の読みは同じく「れお」だという。いずれも西武からの指名ではなかった。

 ロッテが1位指名で獲得したのが青学大の西川史礁で、名前の読みは「みしょう」。日本ハムが2位で獲得した東海大相模の藤田、同じく2位でロッテが獲得したヤマハの宮崎はともに名前が「りゅうせい」だが、藤田は琉生、宮崎は竜成と書く。

「暖」という名前の選手は3人。西武6位のエナジックスポーツの龍山は「はるき」、DeNA育成2位の阿南光高の吉岡は「はる」、ソフトバンク育成13位の門前高の塩士は「だん」と読む。

「たいが」は、タイガー・ウッズにちなんで親が名付け、プロゴルファーで目立つ名前だが、今回のドラフト会議でも散見された。オリックス育成3位の花咲徳栄の上原「堆我」、ソフトバンク育成12位の東陵高の熊谷「太雅」。

「翔」の文字は全国的に人気で、ドジャースでワールドシリーズ進出を果たした大谷翔平の名前にも使われている。今回のドラフトでも目立ったが、その読みは様々。西武外れ1位の金沢高の齋藤大翔(ひろと)、楽天3位の四国IL徳島の中込陽翔(はると)、ヤクルト4位の健大高崎高の田中陽翔(はると)、DeNA5位のおかやま山陽高の田内真翔(まなと)、同6位の国学院大の坂口翔颯(かすが)、といった具合だ。

名前の由来は「NIKE」

 巨人4位の北星学園大付高の石田充冴は「じゅうざ」、中日育成1位の宮崎商の中村奈一輝は「ないき」と読む。「じゅうざ」は北斗の拳のキャラクター、「ないき」はスポーツメーカーのNIKEが名前の由来だという。オリックス6位のNTT東日本の片山楽生は「らいく」、巨人育成6位の明徳義塾の竹下徠空は「らいあ」である。

翌日のスポーツ紙でも、フリガナがなければ読めない選手が多い。スポーツ記者たちからも「記事を作る際に一発で変換されずに困った」との声が聞こえてきたが、この選手たちのなかから、プロの世界で大活躍し、難解な名前の読みを当たり前に定着される者は出てくるだろうか。