「極悪女王」より芋生悠演じるマキ上田

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 1980年代に世間をにぎわせた稀代の悪役レスラー、ダンプ松本の半生をオリジナル脚本で描くNetflixシリーズ「極悪女王」(世界独占配信中)。ダンプ松本役のゆりやんレトリィバァをはじめクラッシュ・ギャルズ役の唐田えりか&剛力彩芽ら実在のレスラーにふんしたキャストの体当たりの熱演が話題沸騰だが、彼女たちが背中を追ったカリスマ「ビューティ・ペア」のマキ上田を演じた芋生悠(26)に注目してみた(※一部ネタバレあり)。

 先ごろ、格闘技の聖地である後楽園ホールにて開催された本作の配信記念イベントのVIP席に姿を現し、注目を浴びたマキ上田。ビューティ・ペアは、1970年代後半に一世を風靡したタッグチーム。劇中でダンプ松本がプロレスの門をたたく前から熱狂していたジャッキー佐藤を鴨志田媛夢が演じ、その相方となるマキ上田を芋生悠が演じた。

 ビューティ・ペアはドラマの序盤から登場し、陰りを見せれば容赦なく切り捨てられる女子プロレス界の闇を象徴するかのような存在として描かれた。若き女子プロレスラーたちの羨望の的だったビューティー・ペアも考えのすれ違いから憎み合い、やがて二人は引退をかけた対決に臨むことになる。

 マキ上田を演じる芋生は空手、水泳、長距離走、バスケットボールなどスポーツ万能。かねてから演技力が高く評価され、映画『ソワレ』(2020)では第45回報知映画賞新人賞、第75回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞にノミネート。芥川賞作家・綿矢りさの小説に基づく映画『ひらいて』(2021)では主人公(山田杏奈)が恋焦がれる同級生(作間龍斗)の恋人で、糖尿病の持病を抱える内気な女子高生を可憐に演じ、かたや清水崇監督のホラー映画『牛首村』(2022)では主人公(Koki)らを震え上がらせる謎の少女を怪演して“陰の主役”と話題に。『まともじゃないのは君も一緒』などの前田弘二監督のラブストーリー『こいびとのみつけかた』(2023)では主人公(倉悠貴)が片思いする変わり者のヒロインを好演するなど、その変幻自在な演技力が注目を浴びている。

 リング上でスポットライトを浴びて歌唱する華々しい姿から、ジャッキー佐藤に向ける憎しみのまなざし、かつての相棒と再会した際に見せる感傷的な表情まで、スター選手の栄枯盛衰を見事に体現して見せ、「刺さった」「最初誰かわからなかった」「びっくり」などSNSをにぎわせている。(編集部・石井百合子)