東京都港区で開始した「おむつがなくても大丈夫!手ぶらでお出かけ事業」

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【家電コンサルのお得な話・200】東京都港区では2024年8月から、乳幼児連れの保護者が手ぶらで外出できるよう、「おむつがなくても大丈夫!手ぶらでお出かけ事業」を本格的に開始する。同事業は東京23区内で初めての試みで、区内41カ所の施設で紙おむつとお尻ふきを無料で提供するというものである。保護者が乳幼児との外出時におむつなどの必需品を持ち歩く負担が大幅に軽減される。

●寄付された未使用の紙おむつとおしり拭きを活用



 本事業がスタートしたきっかけは、24年2月に子ども家庭支援センターで試行的に行われた無料提供が、保護者から高い評価を受けたことによる。この支援は、寄付された未使用の紙おむつとおしり拭きを活用し、地域社会全体で子育てを支援する体制を築くことを目指している。

 この取り組みには、区が購入する品物の他、サイズアウトなどで使用されなかったおむつも含まれる。これにより、地域住民が積極的に参加し、子育て家庭を支える環境が生まれつつある。

●障害者の社会参加と就労機会も創出



 さらに、同事業では障害者就労支援も一環として組み込まれている。おむつの受発注、仕分け、梱包、配送業務を障害者就労施設に委託し、障害を持つ人々の社会参加と就労の機会を創出している。

 障害者がより社会に積極的に関わることを促すと同時に、地域社会の一員としての役割を果たすことを可能にするものである。

 同事業の本格的な開始、拡大により、子ども家庭支援センターだけでなく児童館や区役所、図書館など多様な施設で同じサービスを受けることができるようになり、利便性が向上している。

 また、区立認可保育園等では23年6月から紙おむつのサブスクリプションサービスも導入され、持続可能な支援が提供されている。

 港区のこの施策は、乳幼児との外出をもっと気軽にし、育児のストレスを減らすことに寄与する。子育てがしやすい環境は、若い家族の区内での定住を促し、地域社会の活性化にもつながるだろう。

 また、障害者の就労支援にも積極的に取り組むことで、全ての住民が支え合い、共に生きる街を目指している。このような全方位的な支援は、他の区や自治体にも広がる可能性があり、日本全国での新たな社会支援のモデルとなり得るものと期待したい。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)



堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。