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テクノロジーの進化によって、現代の人と人が出会う術の1つにスマートフォンがあります。出会いと写真や動画の撮影が同一端末でできる。この便利さを悪用する人がいます。いろいろなことがスマートフォンでできるようになり、匿名の脅迫行為も、今までよりずっと容易に行なえるようになってしまったのです。

家族や友人、職場の人には絶対に見られたくない、知られたくないプライベートな写真や動画をネタに、金銭を要求してくるデジタル脅迫が増えています。その脅迫に性的なものが絡むのが、「性的脅迫=セクストーション」です。

米Gizmodoが、不倫系出会いサイト「Ashley Madison」のセクストーション問題を取り上げたところ、大きな反響があり、ある男性から自身のセクストーション被害についてメールが届きました。

ある読者の体験談

メールをくれたこの読者を、仮にジェイコブさんとします。ジェイコブさんはLGBTQ+の出会い系アプリを利用していました。ある男性とチャットが盛り上がり、性的な画像を交換することに。メッセージのやりとりは何度か続き、会う約束も。ただ、画像交換後、相手の発言がおかしくなったといいます。

「1,000ドル分のギフトカードを買って、すぐ送れ」

要求を無視したら、ジェイコブさんが送った性的な画像をネットに公開すると相手が脅してきました。しかも、ただ公開するだけではありません。児童ポルノ・児童虐待の要素を加えて公開するというのです。これが公開されたら、性的児童虐待の疑いで捕まるだろうと。

このときのことを振り返って、人生で一番恐ろしい瞬間だったと語るジェイコブさん。ネットで検索すると、Redditなどの掲示板に似たような体験をした人の話がたくさんあり、それらを参考に対応することにしました。対応とは、相手をブロックして何もしないこと。何もせず、何も起こらないことをただ祈るだけ。

友人に相談したところ、似た体験をした人がやはり数人おり、みんな自分で抱えて悩んでいたことがわかりました。そこで、自分の体験談を公にすることで、注意喚起として多くの人に伝わればと思い、米Gizmodoにメールしてくれました。

自分を守るのは自分

ジェイコブさんが利用していたアプリの運営は、米Gizmodoの取材に対し、クィアコミュニティのつながりに真摯に向き合い、安全な環境を提供するようコミットしているとしつつ、一部の人間がプラットフォームの機能を悪用していること、それによってユーザーにリスクがあることは認識していると回答。

ただ、これはこの特定アプリ、ひいてはクィアコミュニティだけの問題ではなく、マッチングサービス含むSNS全体の問題です。

ジェイコブさんのメールをきっかけに、米Gizmodoは米国連邦取引委員会にジェイコブさんが被害を受けたアプリに関する消費者からのクレーム公開を要求。クレームにはさまざまなものがありましたが、その中からセクストーションに関するものを、体験談として一部まとめました。

被害者の体験談から学ぶべきことは、何があっても性的な画像・動画は、誰にも送ってはいけないということ。自分の身を最初に守ることができるのは、自分だけです。

出会い系アプリ以外のアカウントを特定

出会い系アプリで得た情報から、別のSNSアカウントを特定。SNS上でのやりとりから、被害者の友人や家族を特定するやり口。性的画像やチャットのスクショを、他SNSを経由して家族や友人に送ると脅す。

Aさんの場合

メッセージで性的なやりとり後、相手の態度が豹変。金銭的要求のメッセージと共に送られてきたのは、相手がFacebook上で被害者の友達(親戚含む)とメッセージのやりとりをするスクリーンショット。

Bさんの場合

出会い系アプリのやりとりから、Facebookが特定される。Facebookでのつながりを把握、スクリーンショットが撮影され、特定済みなことをアピール。そうされることで、いつでも本当に公開されてしまうという恐怖が増した。

電話番号から全部バレ

アプリでのチャットから電話番号を交換。番号が検索され、さまざまな個人情報が漏れてしまうケース。

Cさんの場合

性的画像を含めやりとりしていた相手と、アプリ外で連絡をとるため電話番号を交換。相手は電話番号からさまざまな情報を検索して、ゆすり行為へ。Cさんは既婚者だったことから、妻へ画像と会話のスクショを送るというのが強力なゆすりネタになった。

ゆすりは終わらない

要求に応えれば終わるというのは楽観的。要求に応えれば次の要求が来ます。ゆすりには終わりがないケースも。

Dさんの場合

アプリでやり取り後、Facebookアカを特定されゆすりに。SNSアカウントをすべて消すが、電話番号からスマホにテキストが届き、送金アプリでの送金、Appleギフトカードなどの購入などを求められる。

アプリに送金後、運営に詐欺報告したとされ、さらに要求金額が上がる。送金コードのやりとりミスなどから、特定サービスで新規アカウント作成・ログイン情報・2段階認証付与、さらに金融系サービスにまで登録させられる。最終的には家に押しかけるという脅しも。

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Source: Gizmodo US