TwoFiveとエンバーポイントは5月22日、「なりすましメール対策」の実態についての調査結果を発表した。日経225のDMARC導入率は91.6%、大学ドメインのDMARC導入率は38.4%にとどまり、Gmail新ガイドライン6月本格運用直前「ワンクリック購読解除」利用率は77.7%であった。

日経225企業DMARC導入状況(n=225)

○DMARCを少なくとも1つのドメインで導入している企業の割合は?

これは、国内で流通しているメールのDNSレコードから送信ドメイン認証技術DMARC導入実態を調査し、毎年5月と11月に結果を公開したものの最新版。今回の調査対象は、日経225企業が管理・運用する5,873ドメインと、教育機関として大学(国立、公立、私立、短大合わせて1,117校が管理・運用する13,860ドメイン)。

TwoFiveの調査において、日経225企業は、2024年5月時点で206社(91.6%)が少なくとも1つのドメインでDMARCを導入し、昨年同月(140社 / 62.2%)より29.4ポイント増加したという。

Google/米Yahoo!の送信者向け新ガイドライン発表(2023年10月)後の変化を見るために2024年2月に臨時調査したところ、DMARCを少なくとも1つのドメインで導入している企業は193社(85.8%)で、2023年11月(153社/68.0%)と比較すると3カ月間で17.8ポイント急増した。そして今回も3カ月間で5.8ポイント増加しており、新ガイドライン対応の動きが継続して進行しているとみられる。

エンバーポイントの調査において、送信ドメイン認証の設定機能を提供するMail Publisher利用ユーザーの設定状況は2024年5月時点で、全ドメインの84.3%/全流量数の93.1%がDMARCを設定している。Mail PublisherでのDMARC設定率は2023年11月頃から増加傾向を示し、2024年1月時点では全ドメインの46.3%/全流量数の79.2%となり、4カ月間でそれぞれ38.0ポイント/13.9ポイント増加した。

Mail Publisher利用者のDMARC設定率

○ワンクリック購読解除の利用率は?

メール送信者向け新ガイドラインでは、商用の宣伝メッセージの場合、ワンクリックでの購読解除に対応する必要がある。エンバーポイントは今年1月、この条件を自動的に満たして配信できるよう、Mail Publisherに「ワンクリック購読解除機能」を追加しており、1月下旬の提供開始から現在までの約3カ月間で全配信数の77.7%が利用しているという。

ワンクリック購読解除機能の設定率

Google/米Yahoo!の新ガイドラインは2024年2月から段階的に適用され、6月に本格適用される予定だが、適切なメール送信を行うための関連機能の利用の積極的なアナウンスが功を奏したものと両社は考えている。

また、TwoFiveの調査において、大学のDMARC導入率は36.5%で、昨年同月(9.4%)と比較すると27.1ポイント増加したものの、日経225をはじめとする企業と比較すると、なりすましメール対策が進んでいないと考えられ、今後メールを適切に利用していくためには、送信側が正しい対応をしなければならないことを認識する良いきっかけになったと両社はみている。

大学のDMARC導入状況(n=1117)