萩野氏 インデックスで新興国を円ベースで見ると過去3年でほぼフラットであり、100が100と少し増えたぐらいだと思いますが、このiTrustの新興国は、タイミングによりますが1.4倍から1.5倍と伸びています。その大きな差は何かというと、まさしく中国が入っていなかったことが挙げられます。韓国も実はそれほどパフォーマンスが良くなく、その要因の一つは世界経済の影響を受けたというのもありますが、やはり労働人口が減少に転じていることだと思います。日本も1990年代の頃から成長率は落ちていきましたが、その狭間に入ってきている可能性がある国を除外したものが、投資対象になっています。

朝倉 個人投資家では分からない、選択ができないですよね。さきほどの通り、インドというとみんなインドに着目しますが、もっと違う国が見られていない。それは個人ではできないことなので、やはりファンドとして御社のような企業に委託をしていくのが一番いいですよね。

萩野氏 私はピクテに入社し約24年、さまざまな富裕層や、世界・ヨーロッパの方々とお付き合いして本当に感じるのは、彼らは「非効率性」を見に行くのです。新興国のマーケットは「非効率的」なものが満載です。この投資対象を選別する考え方を打ち出すことができたのは、ピクテならではの特徴だと思います。

朝倉 まさに新興国ならではの重要性ということでしょうか。先進国、特に世界の株式の時価総額ではアメリカが引っ張ってきましたから、パッシブを買っていれば良いという風潮がありました。これからは少しずつ変わってくると思いますが。新興国はまさにインデックスからアクティブへ、そしてアクティブの中でも御社がこのように銘柄や地域をセレクトしたというのは、しっかりとアルファが出てきたということですね。

萩野氏 成長力があるのに加えて、バリュエーションが安いのです。ポートフォリオの平均PERが10倍以下程度となっています。

朝倉 それは安いですね。

萩野氏 今、大体米国で20倍近いかと思います。新興国はその半分以下です。そこも一つ魅力的なポイントです。長期間にわたり調整はされてくると思いますが、だからこそ長期の投資対象としては面白いエリアだと思います。

朝倉 そういった意味では新興国として、十把一絡げに見るのではなくて、こうしたいいファンドがあるよということも、今回のアワード評価として、クローズアップさせていただきました。まさに栄えある1回目の受賞ファンドであるということだと思います。

 投資家の方にもぜひこのような考え方やファンドにも目を向けていただきたいと思います。最後に投資家へのメッセージをぜひお願いします。

萩野氏 今後、日本の投資家の方が考えなければいけないのは、全体の資産の8割程度を運用しないと資産が保全できないのではないかということです。物価上昇率が今までの25年とは変わってきて、おそらく2、3%、かなり高い水準です。そうすると現金を持っていることはどんどん劣化に繋がります。また、もう一つ重要なのが、10年単位で投資することです。1、2年のトレーディングでなく10年単位です。その際に重要なことは、安くて、成長力が10年後も期待できるところを選んでほしいと思います。労働人口の伸び率というのは10年後も期待できます。だからこそ長期投資に非常に適した商品だと、われわれは思っています。