なぜ私有地への「無断駐車」は移動できない? 警察でも「対処不能」!? 逆に「罰則対象」になるケースも! 可能な対応方法とは
「私有地」だと警察は対応できない!?
もし契約している駐車場や自宅の敷地内に誰かが「無断駐車」した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
無断駐車は非常に迷惑な行為のため、多少強引な手段での解決を考える人もいるかもしれませんが、対応方法を誤ると「無断駐車された側」が悪くなってしまうことがあるので注意が必要です。
実は契約駐車場や自宅敷地内などに見知らぬクルマが停めてあったとしても、残念ながら「道路交通法違反」にはならない可能性があります。
【画像】「えっ…!」 これが絶対に無断駐車できない「危険な駐車場」です(10枚)
公道(駐車禁止の場所)での駐車違反であれば「道路交通法第44条」の違反に該当する一方で、それが私有地だと警察は取り締まることはできず、たとえ通報しても警察では対応できないのです。
筆者(大西トタン)の体験談ですが、とある有名神社の近くに住んでいたときに、複数の参拝客がマンションの駐車場に無断でクルマを停めたことがありました。
仕方なく管理会社に連絡し、警察にも通報して来てもらったものの、残念ながら「警察では対応できない」となり、参拝客が戻るまで待って管理会社から注意をしてもらうしかありませんでした。
その際に、警察官から言われたアドバイスが、「無断駐車しているクルマに触れたり、注意書きなどしない方がいい」というもの。
実は、無理やり無断駐車のクルマを移動したり排除すると、こちらが罪に問われる可能性があるというのです。
なぜ自力で排除してはいけないの?
自力で無断駐車のクルマを排除しては行けない理由として、現在の日本の法律では「自力救済」(司法手続きなどを経ずに自分の力で権利を回復させる行為)が原則禁止されていることが挙げられます。
例えば、無断駐車のクルマをレッカーで別の場所に移動させるのはNG。
法律上では、自力救済した側に原状回復(私有地に駐車された状態)の義務が発生したり、相手から損害賠償請求をされたりする可能性があります。
また、クルマを無理に移動させたとして、器物損壊罪や窃盗罪に問われる可能性もあるといいます。
「では移動させなければ良いのか」と考えて“注意書き”などを貼り付ける行為も、器物損壊罪に当たる可能性がゼロではありません。
つまり、私有地に無断で駐車されて憤る気持ちがあったとしても、強引な手段に出るのは避けた方がいいのです。
非常に理不尽にも思えますし、泣き寝入りになってしまいますが、持ち主が戻るまで待つしかないのが現状。
ただし、多少手間と時間はかかりますが、無断駐車したクルマのナンバーなどを控えた上で「無断駐車の対応」に詳しい弁護士に相談し、持ち主に対して損害賠償を請求することは可能です。
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このように、たとえ迷惑極まりない行為であったとしても、私有地の無断駐車を排除しようとすると現在の法律を鑑みた場合「無断駐車された側」が不利になってしまいます。
警察でも対処できないため、あまりにも無断駐車が長期間に及ぶような悪質なケースでは、専門家に相談して解決するのがスムーズだといえるでしょう。