新車の購入は人生でもっとも大きな買い物の1つです。車選びにおいては、車種の選択はもちろん、「どのオプションを選べばよいか」も迷いどころでしょう。

今回は自動車ディーラーで働くスタッフや、元従業員から、「実はオススメできないオプション」について話を聞きました。

「純正マットとバイザーは選ぶな」ってホント?

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ディーラーにおいてはほとんど「必須オプション」のように扱われているのに、実際には「いらないオプション」として挙げられやすいのが、「フロアマット」と「ドアバイザー」でしょう。ディーラーマンからも、この点については同意の声が多く寄せられました。

「どちらの場合にも、社外品を購入した方が全然安く済むんですよね。バイザーもマットも、同等の品質のものが半額くらいで手に入ります。純正オプションの場合、バイザーやマットなどを含めたパッケージなんかもありますが、それよりも社外品の方が安いですよ」(元ディーラー営業スタッフ)

さらにバイザーについては、「車内でタバコを吸う人でもない限り、雨の日に窓を開ける機会はないので不要」といった声も聞かれました。

一方で、たとえ割高でも純正のマットやバイザーを選ぶ意味はあるというディーラーマンも。

「ネットでは『純正マット・バイザーを使う人は騙されている』みたいな話も聞きますが、実際のお客さんを見ていると、それなりにニーズはあるように思いますね。

お客さんにオプションを選んでもらう際、割高なものについては『これは正直、ネットとかで買った方が安く済みます』といった案内もするのですが、それでもマットやバイザーは『いや純正の方が安心だし』と選択する方が多いです。

社外品をネットなどで購入する場合、品質を目で確かめられないこともありますし、納車の際の『出来上がっている感じ』が損なわれることを嫌う人もかなりいる印象です」(ディーラー営業スタッフ)

たしかに、社外品のマットやバイザーを買うとしても、どのメーカーのものがよいのか、本当にフィッティングに問題はないかなど、ある程度のリサーチが必要となるでしょう。そうした手間を考えると、値段は高くとも「純正の安心感」を選ぶのもよいのかもしれません。

同じ値段を出すなら「社外ナビ」が高性能?

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次に、やはり多くの意見が寄せられたのが「カーナビ」や「ドライブレコーダー」です。どちらも今や必須装備といえますが、オプション装着すべきではない理由はどのようなものなのでしょう。

「ナビとドラレコは、基本的に社外品の方が安く済みます。ものによりますが、とくにハイグレードのナビの場合、同等品を後付けすれば5万円以上は節約できるケースも多いのではないでしょうか。

同じお金を出すなら、より高性能な社外ナビを選んだり、あるいは追加でスピーカーを交換したりもできますから、その方が満足度は高くなるでしょうね。

ただ、最近だとディスプレイが車種専用設計になっており、社外品が使えない場合も増えているので、その場合にはメーカーオプションを選択するしかありませんが……」(ディーラー営業スタッフ)

とくにカーナビの場合には、「はじめから付いているのが当たり前」と考えている人も多く、純正オプションとして用意されるいくつかの製品から選ぶケースが多数だと考えられます。一方で、カー用品店やECサイトなどでは多種多様な製品が展開されており、価格競争が働くため、同等品でも社外ナビの方が安く済む傾向にあるようです。

カーナビは製品によってルート探索の性能や案内のわかりやすさ、音質や外部機器との拡張性などが大きく異なりますから、せっかくお金を払うのであれば、自分の好みに合った社外ナビを検討してみるのもよいでしょう。

コーティング自体に効果はあるが……

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話を聞くなかで、とくに話に挙げられる機会が多かったのが「コーティング」です。せっかく新車を買うのだから、よりキレイな状態で納車してもらいたいと考えるのは自然なことだと思われますが、なぜコーティングのオプションを選ぶべきではないのでしょうか。

「もちろん、コーティングそのものが悪いわけではありません。しっかり施工していれば、汚れも落ちやすくなりますし、洗車の手間も少なくなるので、キレイな状態を維持しやすいんです。

ですが、ディーラーオプションのコーティングはコスパ的にお勧めしませんね。施工レベルにもバラツキがありますし、そもそもコーティング専門店であれば、同等の溶剤を使っても半額程度で収まるケースが多いでしょうから。

やはり同じ値段を払うのであれば、下地処理をしっかりやって、高品質な溶剤を使ってくれるところに任せるのがいいと思いますよ」(元ディーラー営業スタッフ)

コーティングはボディの表面に新たな保護膜を形成する処理であり、溶剤の性質はもちろん、塗り込む以前の下地処理によって仕上がりは異なります。新車であれば下地処理の有無による影響は小さいと考えられますが、それでも保護膜を長く定着させるには、専門的な処理を実施したうえで溶剤を塗布するのが望ましいでしょう。

このように、ディーラーマンが考える「不要なオプション」は、装備そのものが不要なのではなく、「純正だと割高になってしまう」といった理由から挙げられる傾向にありました。もちろん、「色々調べたり、あちこち回ったりするのが面倒」という人にとっては、ワンストップで済ませられる純正オプションも魅力的な選択肢でしょう。

みなさんは車のオプションで、「これはいらなかったな……」と感じた経験はありますか?