Googleは拡張機能の仕様であるManifest V2を2024年6月に終了し、最新版であるManifest V3に移行すると発表しています。この移行プロセスは批判の声を受けて2022年12月に一時停止されましたが、Manifest V3に改善を加えてManifest V2の非推奨化が再開されることが2023年11月16日に公式ブログで発表されました。

Resuming the transition to Manifest V3 - Chrome for Developers

https://developer.chrome.com/blog/resuming-the-transition-to-mv3/

Google Chrome will limit ad blockers starting June 2024 | Ars Technica

https://arstechnica.com/gadgets/2023/11/google-chrome-will-limit-ad-blockers-starting-june-2024/

Chrome pushes forward with plans to limit ad blockers in the future | Malwarebytes

https://www.malwarebytes.com/blog/news/2023/11/chrome-pushes-forward-with-plans-to-limit-ad-blockers-in-the-future

Manifest V3は2021年1月にリリースされたChrome 88から正式にサポートされています。

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Googleは2022年10月にManifest V3への移行ロードマップを発表しており、2023年1月のChrome 112からベータ版のCanary・Dev・BetaチャネルでManifest V2のサポートをオフにし、Chrome 115から安定版を含むすべてのチャネルでManifest V2をオフにすることを想定していました。

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しかし、このManifest V3は拡張機能とウェブサイト間のデータのやり取りや、拡張機能に持たせられる柔軟性が低下するため、拡張機能のパフォーマンスが大幅に制限されると批判されています。特に広告ブロッカーは大きく影響を受けることとなり、大きな批判を集めていました。

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そこで、Googleは当初描いていたロードマップを2022年12月に一時凍結し、Manifest V3に次の変更を加えたとのこと。

・オーディオ再生などで使う拡張機能にDOMへのアクセスを提供する「Offscreen Document」の導入

・サービスワーカーのライフタイムをより適切に制御可能に

・新しいユーザースクリプトAPIの追加

・declarativeNetRequest APIで静的ルールセットと動的ルールの制限を緩和することで、コンテンツフィルタリングのサポートを改善

・sidePanel APIやベータテスト中のReading List APIといった機能の追加

しかし、セキュリティ企業のMalwarebytesLabsは「Manifest V3が広告ブロッカーを特にターゲットにしていないとしても、ブロックリクエストの柔軟性を低下させる大きな変更であることに変わりはありません。最終的に多くの広告ブロッカーが使用するAPIが制限され、機能の低いAPIに置き換えられます」と述べています。

IT系ニュースサイトのArsTechnicaは、フィルタリングルールを恣意(しい)的に制限することを正当化できないと論じ、従来通りに広告ブロッカーを使用するには、Firefoxなど他の制限のないブラウザに切り替える必要があると述べています。

なお、Firefoxはブラウザ間の互換性を考慮してManifest V3をバージョン109からデフォルトで有効にしていますが、Manifest V2にも引き続き対応しています。

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