フォード・モーターなど有名銘柄が上位に(写真:Brittany Greeson/The New York Times)

株式投資の醍醐味には、値上がり益に加え配当収入がある。年4回の配当や大規模な自己株買いなど、株主還元に積極的な米国株の中で、配当利回りが高い銘柄はどれか。

本日10月16日(月)発売の『米国会社四季報』2023年秋冬号では、アメリカの株式市場に上場する主要銘柄を配当利回りが高い順にランキングした。

配当利回りは1株当たり配当金(今期予想)を株価で割ったもの。例えば年間配当が50円で株価が1000円の場合、配当利回りは50円÷1000円×100=5%となる。ただし、株価が下がれば利回りは上がるため、銘柄選定時には業績悪化などで株価が急落していないかも注意したい。

算定の基となる株価は2023年9月1日の終値。対象は『米国会社四季報』2023年秋冬号の掲載銘柄で、予想EPS(希薄化後1株当たり利益)がマイナスのものなどは除いた。

大型銘柄が続々ランクイン

1位はたばこ大手のアルトリア・グループ(MO)で、利回りは8.71%と唯一の8%台だった。2023年春夏号に続きトップ。53年連続で増配している。同業種では、加熱式たばこ「アイコス」などを展開するフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)も25位に入った。

2位は自動車大手のフォード・モーター(F)だ。利回りは7.63%だった。今期の純利益は黒字復帰が見込まれるものの、EV事業は先行投資があり赤字で、株価は伸び悩んでいる。


3、4位は通信大手のAT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)で、両社とも7.5%台。前号ではAT&Tが11位、ベライゾンが6位となっており、ともに高配当利回りの代表格だ。足元の株価の低迷も、高い利回りの背景となっている。

金融銘柄も目立った。アメリカ南東部と中部大西洋岸が地盤のトゥルイスト・ファイナンシャル(9位、TFC)、全米中堅のシチズンズ・ファイナンシャル・グループ(14位、CFG)、同じく中堅のコメリカ(15位、CMA)、中西部・西部で展開しているUSバンコープ(26位、USB)、資産規模でアメリカ3位のシティグループ(37位、C)などだ。

ほかにもカジュアル衣料のギャップ(31位、GPS)やハンバーガーのウェンディーズ(35位、WEN)、加工食品・飲料大手のクラフト・ハインツ(43位、KHC)など、日本でも身近な銘柄がランクインしている。

米国株では50年を超える連続増配の企業も

連続増配銘柄もランキングに入った。例えば18位のスリーエム(MMM)だ。「ポスト・イット」や「スコッチ」などで知られる同社は64年連続で増配中。日本株では33年連続増配の花王がトップだが、米国株は50年を超える会社が20社以上ある。

ほかにも、ガス事業が柱の持ち株会社ノースウェスト・ナチュラル・ホールディング(41位、NWN)は67年、家具・自動車部品のレゲット・アンド・プラット(12位、LEG)も51年連続増配だ。

銘柄選びの際には、「会社四季報オンライン」の米国株サービスや各社のIR(投資家向け広報)ページなどを基に、財務やキャッシュフローの裏付けがあるかを必ず確認したい。


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なお、『米国会社四季報』2023年秋冬号では51〜100位を掲載しているほか、「連続増配年数トップ50」など合計7本のランキングを掲載している。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

(林 哲矢 : 東洋経済 記者)