パドレス・ダルビッシュ有【写真:ロイター】

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7回無失点の好投でメジャー通算100勝に王手

 パドレスダルビッシュ有投手が3日(日本時間4日)、本拠地サンディエゴで行われたカブス戦に登板し、7回2安打無失点9奪三振無四球の好投。今季4勝目(4敗)を挙げ、メジャー通算100勝に王手をかけた。注目された鈴木誠也外野手とのメジャー初対決では2三振を奪い、3打席を無安打に抑えた。【サンディエゴ(米カリフォルニア州)=木崎英夫】

 2017年以来となる115球を投げる力投を支えたのは、昨年から言い続ける「ブルペンでほとんど投げないツーシーム」だった――。

「ブルペンだと基本的に曲がらないんですよね。試合にならないと曲がってくれないので、投げても面白くないし」

 右打者には外から、左打者には内角ボールゾーンから急にストライクゾーンへと軌道を変えるボールだけに、手元が狂えば死球になる危険性を孕む。覚悟を決めて投じなければ理想のキレは出せない。アドレナリンが湧かないブルペンではあてにできない球種とあって、調整では度外視する。その球が、この日の躍動を支え、精妙な配球に結びついていった。

 その好例が、2回に鈴木の第1打席で奪った空振りの三振だった。「これがあなたのウイークネス(弱点)ですというピッチング」と括った攻略法は、前日のシャドーピッチングで描いていた。

 1ボールからスライダーとツーシームを外角低めいっぱいに決めて追い込むと、勝負球は外角高めの94マイル(約151.3キロ)のストレート。2球続けた軌道の違う球で目線を下げさせ、最後は高め勝負。術中にはまった鈴木のバットはボールの下を通過。イメージを完璧に再現した4球だった。

“新相棒”とバッテリー「合う感じはちょっとしました」

 前回登板となった5月28日の敵地ヤンキース戦では、早々に7点を奪われ今季最短の3回途中降板。この日は結果を追い求め、油断は最後までしなかった。いつもは多投するカットボールを使ったのは、7回の1球のみだった。

「ツーシームをど真ん中に投げていてもファウルを取れるという状況だったので。変にここでカッターをいってしまうと、スピードが落ちて詰まってヒットになるというパターンが見えていたので、あんまり使わないようにしました」

 メジャーワーストの235得点とワースト2位の打率.220のパドレスは、打てる捕手に活路を求めて元ヤンキースでメッツから5日前にウエーバーでゲーリー・サンチェス捕手を獲得した。数日前のブルペンで呼吸を合わせたダルビッシュは「あんまり僕にガンガン話しかけてこないですし、僕はそれが楽なので。本当に合う感じはちょっとしました、今日は」とコンビ初の実戦で好感触を得ている。

 許した安打は2本の内野安打のみ。新加入の相棒を相手に、配球の組み立てに新味を添えた6年ぶりの投球数115球で今季初の無失点を記録した右腕は、節目のメジャー100勝に向けて弾みをつけた。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)