風間トオル、野草を食べて飢えをしのいだ少年時代「貧乏はつらいけど、不幸ではない」
華やかな芸能界に身を置きつつも「お金を使わない生活が好き」と語る庶民感覚たっぷりのタレントたち。背景にあるのは“過去の貧乏暮らし”。もったいないマインドを大いに学びたい。
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風間トオルはバラエティー番組で幼少期の貧乏体験を語り、視聴者をたびたび驚かせている。
ただの野原が『冷蔵庫の野菜室』に見えていた少年時代
自伝エッセイ『ビンボー魂 おばあちゃんが遺してくれた生き抜く力』にも、その壮絶なエピソードの数々が記されている。
5歳のころに両親が離婚し、祖父母のもとで育ったが、生活費がほとんどなく、野草や花などを食べて空腹をしのいでいたこともあった。
「食べてみると、これが意外とイケる。紫のアサガオが甘くておいしかったのをよく覚えてます。食べられる植物に詳しくなるうちに、ただの野原が『冷蔵庫の野菜室』に見えてきましたね」
どん底の生活のなかでも、風間は底抜けのポジティブさで乗り越えていた。お風呂もなかったのだが、水をためた屋外の洗濯機に洋服を着たままつかり、「一石二鳥だ」と入浴と洗濯を1度に済ませていたという。
今あるものを大事にする倹約精神
そんな風間だが、そのハンサムさでバレンタインデーではクラスの女子にモテモテ。ただ、もらったチョコレートは貴重な食料として、1日ひとかけらずつ、1年かけて食べていた。
ホワイトデーには公園で拾った松ぼっくりに、色を塗ってプレゼント。なんとカバンにつける女子もいたそうで、厳しい生活をおくる時代からすでに風間が人気者だったことがうかがえる、ほほえましいエピソードだ。
雑誌モデルにスカウトされ、20代半ばで俳優としてドラマデビューした。人気が出たころはバブル絶頂期。しかし「こんな生活は長く続かない」と考え、ギャラは事務所に預け、演技の勉強に勤しんでいた。だからこそ、幅広い役柄を演じられる俳優として60歳の今でも第一線で活躍しているのだ。
「貧乏はつらいけど、不幸ではありません。お金がないなりに、『なんとかなるさ』と思って楽しく考えながら生きてきました。いろんな知恵を授けてくれた少年時代の生活は、そんなに悪いことじゃなかったです」と語る風間。
バラエティー番組では30年間愛用しているポーチを紹介しており、今あるものを大事にする倹約精神は失われていない。その心意気は、厳しい時代を生き抜く人々にも勇気を与えてくれる。
取材・文/オフィス三銃士