世界最大の仮想通貨取引所であるBinanceがライバルの仮想通貨取引所であるFTXの買収に乗り出したことをきっかけに、仮想通貨ビットコインの価格が数時間で12.7％下落しました。

Bitcoin briefly touches a new low for the year, FTX token plunges more than 75% in broad crypto sell-off

https://www.cnbc.com/2022/11/08/cryptocurrencies-slide-as-worries-about-ftx-fester-in-latest-crypto-liquidity-scare.html

Crypto giant Binance to acquire rival FTX following ‘liquidity crunch’ | TechCrunch

https://techcrunch.com/2022/11/08/binance-signs-letter-of-intent-to-acquire-ftx/

2022年11月8日、BinanceがFTXを買収する意向を示しました。きっかけはFTXからBinanceに対し「流動性が著しく低下しているため強力して欲しい」という要請があったことで、BinanceはFTXを買収することで流動性低下の危機から救おうとしたとされています。また、買収準備に伴いFTXでの法定通貨以外の通貨引き出しがすべて停止されました。





時を同じくして、FTXのサム・バンクマン・フリードCEOが買収についてTwitter上で釈明。チームは未払いの引き出しの解消に取り組んでおり、これにより流動性の危機が解消されすべての資産が1対1でカバーされること、決済などに少し時間がかかるかもしれないことといった情報を顧客向けに発信しました。また、ライバルである取引所同士の対立がうわさされていることにも言及し、「うわさについては知っていますが、Binanceは規制当局と業界関係の改善に取り組みながら、より分散化された世界経済に尽力していることを何度も示しています。私たちは最善を尽くしています」と述べました。





買収騒動の混乱を受け、ビットコインを含む仮想通貨市場は大きな売り圧力に直面。日本時間11月8日の17時に1BTC当たり296万2347.87円だったビットコインは、2時間半後に258万4751.93円まで下落。実に12.7％の下落幅となりました。この価格は、ビットコインの価格が急激な上昇を見せ始めた2020年11月以来の最低水準です。



ビットコイン以外の仮想通貨も下落しており、ドル換算でイーサリアムが約18％、Solanaが約26％下落しました。株式市場でも、仮想通貨取引所のCoinbaseが約11％、Robinhoodが約19％、それぞれ株価が下落したとのこと。また、仮想通貨を取り扱う金融機関や仮想通貨のマイニング企業も打撃を受けました。

両社の買収契約は完全な合意には至っておらず、近日中に買収に向けたプロセスを実行するとのこと。Binanceのチャンポン・ジャオCEOは買収を「ユーザーを保護するため」とし、「カバーするものが多く、時間がかかると思われます。これは非常にダイナミックな状況であり、我々はリアルタイムで状況を判断しています」と述べました。

なお、ジャオCEOは今回の騒動の2日前に、「最近明らかになった事実により、保有しているFTT(FTXのトークン)を精算することを決定しました」と述べていました。これは、11月2日にバンクマン・フリード氏の取引会社であるアラメダ・リサーチのバランスシートの大部分をFTTが占めているという指摘がなされ、このような流動性の低い資産を保有することに財務上のリスクがあるのではないかと言及されたことがきっかけだと見られています。