近年は多くの人々がスマートフォンで検索やコンテンツの視聴、ゲームなどを完結させるようになり、世界的にPCの売上が減少しています。そんな中、PC向けOSであるWindowsを開発するMicrosoftが、「広告やサブスクリプションプランを導入した低コストのPC」の提供を検討していると報じられています。

What's next for Windows: Sweeping new strategy for cloud, ads, devices? | ZDNET

https://www.zdnet.com/article/whats-next-for-windows-cloud-integration-ad-and-subscription-powered-devices/

Microsoft mulling cheap PCs supported by ads, subscriptions • The Register

https://www.theregister.com/2022/11/02/microsoft_windows_pc_ads/

Microsoft job listing hints at low-cost PCs powered by ads and Windows 365

https://www.xda-developers.com/low-cost-pcs-powered-by-ads-and-windows-365/

2020年には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって世界各国でリモートワークや遠隔学習が推進されたため、PCの出荷台数が過去10年で最高の伸びを記録しました。しかし、その後はPCの出荷台数は低調となり、2022年第1四半期(1月〜3月)には前年同期比で7.3%減少。調査会社のIDCが2022年10月に発表した第3四半期(7月〜9月)のレポートでは、世界のPC出荷台数は7430万台で前年同期比15%減まで落ち込みました。

世界のPC出荷台数は前年比15%減の7430万台に、Appleのみ40%増 - GIGAZINE



PC売上の減少はOSを販売するMicrosoftにとって打撃となりますが、海外メディアはMicrosoftがこの状況を打開するため、「広告とサブスクリプションを搭載したクラウド接続型の低コストPC」の販売を検討している可能性があると報じています。

海外メディアのZDNetは発見した求人情報から、Microsoftは「新たなWindwosインキュベーションチーム」のメンバーを募集していると指摘。このチームはクラウド上にホストされたWindwosをリモートで操作する仮想デスクトップサービス「Windows 365」をウェブベースのシェルと統合し、WindowsとWindows 365をさらに緊密に結びつけようとしているそうです。

求人情報には、「私たちが作成する基本要素は、広告とサブスクリプションを活用した低価格PCから、仕事と生活に密着した新たなクラウドと直接統合したハードウェアデバイスまで、Windowsの体験とビジネスモデルの新しい方向を示すことになるでしょう」と記されているとのこと。

すでにMicrosoftは、Windows 365をPCと共に購入できるビジネス向けのサブスクリプションプラン「Windows 365 Business クラウド PC」を提供しています。2022年4月にはWindows 365をWindows 11に統合することも発表されたほか、7月には最高製品責任者を務めるパノス・パネイ氏がWindows 365の責任者に就任するなど、Windows 365に注力する姿勢を見せています。

ZDNetは中小企業向けプランが従業員数が1人の企業でも利用できることから、Microsoftが一般消費者向けにWindows 365の提供を検討しているのは驚きではないと主張。海外メディアのThe Registerは、Windows 365に広告を導入することでコストの一部を相殺できると述べています。



近年のMicrosoftは広告事業に注力しており、モバイル版Outlookの受信箱に広告を表示しているほか、Netflixが展開する「広告付き低価格プラン」のパートナーになることも発表されました。

Microsoft製メールアプリ「Outlook」の受信箱に広告が表示される - GIGAZINE



NetflixがMicrosoftと「広告付き低価格プラン」で提携すると発表 - GIGAZINE