「尖圭コンジローマ」ができる原因はご存知ですか?医師が監修!

写真拡大 (全5枚)

尖圭コンジローマは性病の1種で、性器に特徴的なイボがあらわれます。

性病の中では比較的重い症状が出にくい病気ですが、放置すると周囲の方を危険にさらしたり、自身・パートナーの不妊の原因になったりすることもあります。

自分やパートナーを守るには、正しい予防知識を持ち、症状があらわれた場合はすぐに病院を受診することが大切です。

本記事では、尖圭コンジローマの症状・受診の目安・予防方法を解説致します。ぜひ参考にしてください。

尖圭コンジローマの原因と症状

尖圭コンジローマはどのような病気ですか?

尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスに感染して起こる性病です。

多くは良性で、自然経過で治癒することも少なくありません。感染すると身体の免疫力が下がるため、HIVや感染症のリスクが高まります。

あるいは、不妊の原因となることもあります。

感染症・不妊のリスクを避けるためにも、罹患に気づいたらすぐに病院を受診することが大切です。

尖圭コンジローマの原因を教えてください。

尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスに感染することで発症します。なお、この病気を引き起こすのは、ヒトパピローマウイルスの中でも「ローリスク型」と呼ばれる6型と11型です。

ヒトパピローマウイルスの感染経路の多くは、性交渉です。性交渉には、膣交渉・肛門交渉・口腔交渉などが含まれます。

性行為中に性器同士の接触などによって皮膚や粘膜に傷が入ると、そこからウイルスが侵入して感染に至ります。

どのような症状がみられますか?男女で違いがあれば教えてください。

性器に三角形の小さなイボができるのが特徴的です。イボは数ミリから数センチ程度で、「鶏のトサカ」「カリフラワー」などと形容されることもあります。

イボができる場所は、男性の場合は陰茎・包皮の表面、女性は大小陰唇や膣前庭の表面が一般的です。

イボは基本的にウイルス感染した部位に発生するため、性交渉の内容によっては肛門内部・尿道・口腔・のどなどに症状があらわれることもあります。

イボの色は灰色・ピンク・白・黒・などさまざまで、かゆみ・痛みはないケースがほとんどです。人によってはかゆみ・違和感などを感じることもあります。

症状をし大型になると、疣状癌という悪性腫瘍に発展することがあります。

この病気は潜伏期間が長く、感染から症状が出るまでには2~3ヶ月ほどかかります。

尖圭コンジローマの診断と治療

セルフチェックの方法や受診の目安を教えてください。

セルフチェックするには、性器に小さなイボができていないか確認しましょう。男性の場合は陰茎・包皮表面をチェックしてください。

女性は大小陰唇・膣前庭・尿道の入り口を重点的に調べましょう。

イボの形状が次に当てはまる場合は、尖圭コンジローマの可能性が高いといえます。

イボの先が尖っている(三角形のような形)

表面がザラザラしている

痛み・かゆみはさほどない

灰色・白・ピンク・黒色など

性器のイボは、その他の性病で発生することもあります。イボの形状が上記のような特徴に当てはまらない場合は、その他の病気が疑われます。

しかし一般の方には、イボの形を正確に見分けるのは難しいものです。

性器に気になる出来物がある場合は、形・症状などにかかわらず、念のため病院を受診してください。

何科を受診すればよいですか?

診療科は、男女でやや異なります。男性ならば泌尿器科・皮膚科で診てもらいましょう。

女性は膣内部に症状があらわれることもあるため、婦人科の受診がおすすめです。

診断のためにどのような検査を行いますか?

尖圭コンジローマの診断では、多くの場合、特別な検査は行いません。診断は問診・視診・触診によって行うことが一般的です。

視診とは、医師が患部を直接目で見る方法です。触診では、医師が指などで患部に触れます。ちなみに、尖圭コンジローマは感染しても発症しないケースもみられます。

症状がない場合、視診・触診では診断できません。そのため症状がない方に対しては、「低リスクHPV検査」を行うこともあります。

低リスクHPV検査とは、陰茎・膣などの粘膜を綿棒でこすりとり、ウイルスの有無を調べる検査方法です。検査結果が出るまでに1週間ほどかかります。

低リスクHPV検査に対応しているかどうかは病院によって異なるため、受診前に電話などで確認しておくのがおすすめです。

尖圭コンジローマの治療方法が知りたいです。

尖圭コンジローマの治療法は主に3種類あります。

軟膏:免疫力を高める軟膏を患部に塗って、ウイルスの増殖を抑える

液体窒素:液体窒素を浸した綿棒をイボにあてて凍らせる

炭酸ガスレーザー・電気メス:イボを焼き切る

軟膏による治療と、液体窒素・電気メスなどの外科手術を併用することもあります。

外科手術はイボを取り除く効果は高いですが、体内に潜伏したウイルスにはアプローチできません。よって、ウイルスを抑制するために軟膏治療が併用されます。

尖圭コンジローマの注意点と予防方法

治療中に気をつけることを教えてください。

治療中は、他人との性的接触は避けてください。性病は治療中も感染するためです。

コンドームをつけていても感染リスクはゼロではありません。感染を広げないためにも、医師の許可が下りるまでは他人との性交渉は控えましょう。

また、非感染者とのお風呂の椅子・ウォシュレット・バスタオルなどの共有も避けるのが無難です。

ウイルスが付着したタオルなどを非感染者が使用すると、その方もウイルスに感染するおそれがあるためです。

尖圭コンジローマはどれくらいで治りますか?

治療期間は個人差があります。早ければ1~2ヶ月で治療が終わりますが、人によっては半年~1年ほどかかることもあります。

。軟膏治療の場合は外用できる期間が決まっており、最長16週間です。

液体窒素・電気メスなどによる治療は、1回で終わることはほとんどありません。

多くの場合、1~2週間ほどの間隔を開けて、数回にわたって処置を受けていただく必要があります。

再発することはありますか?

この病気は再発リスクが高い性病です。具体的な再発率は20~30%といわれています。

再発を防ぐには、まず第1に医師の指導に従って治療を受けることが大切です。尖圭コンジローマは、たとえイボがきれいに消えても、体内にはウイルスが残っている可能性が高い病気です。

この状態で治療をやめてしまうと、ウイルスの再活性化につながりかねません。

ウイルスを完全に死滅させるためには、医師が終了の判断を下すまで治療を続ける必要があります。くれぐれも自己判断で治療を中止することは止めましょう。

予防方法があれば教えてください。

尖圭コンジローマをはじめ性病を予防するには、コンドームを装着することが大切です。

原因ウイルスであるヒトパピローマは、ほんの些細な傷からでも感染するためです。ただしコンドームを装着しても、感染を100%予防できるわけではありません。

近年は子宮頸がんの予防に用いられる「HPVワクチン」が、尖圭コンジローマの予防にも有効だと分かってきました。

感染リスクを下げるためにも、女性だけでなく男性も接種を受けることが可能ですので、ワクチンを接種するのもよい方法です。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

尖圭コンジローマは、梅毒・クラミジアなどに比べると症状が軽い性病です。そのため感染に気づいても放置する方は少なくありません。

また、性病になって恥ずかしいという気持ちから、なかなか病院を受診できない方も多くいらっしゃいます。

しかし、この病気は放置すると他人に感染を広げるだけでなく、不妊に発展する可能性がある病気です。あるいは、治療できないほど重篤化する場合もあります。

自分や周囲の方を守るためにも、性器の異変に気づいたら、勇気を出して病院に足を運んでください。

編集部まとめ

尖圭コンジローマは性病の中では比較的重い症状が出にくい病気ですが、放置すると重篤化・不妊のおそれがあります。

もし性器に小さなイボができていたら、早めに病院を受診しましょう。

あわせて、HPVワクチンの接種や、妊娠を希望しない性交渉ではコンドームをつけるといった日々の予防対策も大切です。

参考文献

尖圭コンジローマとは

尖圭コンジローマについて

尖圭コンジローマとはなにか?

尖圭コンジローマセルフチェック

女性の尖圭コンジローマの見分け方。間違えやすいイボをチェック

尖圭コンジローマだと思ったら

尖圭コンジローマの検査と治療について

尖圭コンジローマ(コンジローム)

尖圭(せんけい)コンジローマ

尖圭コンジローマ

性器にできたブツブツ、もしコンジローマだったら