スマートグラスTobii Pro グラス3で達人技術を継承する! プロフェッショナルの視点を解析するテクノロジー

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スマートグラス「Tobii Pro グラス 3」は、達人やプロフェッショナルな技術者の「コツ」や「経験」といった技術をアイトラッキング技術により解析し、若い人に継承することができる。

アイトラッキング技術は、高齢化が進む熟練者や技術者が保有する高度なスキルを、次世代に伝えることができる技術として注目されている。

2022年5月、東京ビッグサイト「量子コンピューティングEXPO【春】」にて展示された、トビー・テクノロジーの新世代ウェアラブルアイトラッキング「Tobii Pro グラス 3」をレポートする。


■スマートグラス「Tobii Pro グラス 3」の特徴
トビー・テクノロジーはスウェーデンに本社を持ち、学術機関や民間企業に眼球の動きを追跡する「アイトラッキング」の技術を提供している企業。

アイトラッキングのデータを解析して、熟練者の目のつけどころを抽出し、新人研修に活かせるという。


熟練者と初心者との視線の違いを示したイメージ。



トビー・テクノロジーのブースの展示。


「Tobii Pro グラス 3」は、アイトラッキング技術を搭載したウェアラブルデバイス。
前モデル「Tobii Proグラス 2」に改良を加えたスマートグラスだ。

主な特徴は5つ。

1. スマートフォンで録画再生
スマートフォンに対応したことで、パソコン不要で録画や再生が可能になった。
「Tobii Proグラス 2」よりも使い勝手が増し、多くのデータを取得できる。

2. 視野を遮らない
角膜反射法で視野を遮らない目の動きを測定し、精度の高いデータが取得できる。

3. 視野がさらに広がる
「Tobii Proグラス 2」に比べて画角が約40%向上し、上下左右の視野が広がった。
目視検査や設備点検現場で多い上目で見る作業、手元や足元作業での視線を捉えられるようになった。

4. 屋外計測対応強化
オプションのG3保護レンズ(日光対策用)を装着することによって、屋外計測への対応を強化する。
屋外作業、スポーツ、運転、交通広告調査などで、アイトラッキングがやりやすくなった。

5. ヘルメット下着用可能
ヘルメットを使用していても着用できるため、危険を伴う作業やアクティブなスポーツの現場でもアイトラッキングが可能。


スマートグラス「Tobii Pro グラス 3」は、とてもコンパクトに作られている。



■「Tobii Pro グラス 3」が実現するテクノロジー
「Tobii Pro グラス 3」の外観は、一般的なメガネとほとんど変わらないが、最新テクノロジーの塊だ。

レンズは、反射や傷に強く、レンズ内に16個のLEDと4つのアイカメラが搭載されている。
カメラは、
・対角:106度
・水平:95度
・垂直:63度
このような広範囲をカバーし、データ抽出ができる。
よほど特殊な作業でない限りアイトラッキングできる。


「Tobii Pro グラス 3」の機能


G3保護レンズは、オプション装備だ。
「Tobii Pro グラス 3」に被せるように装着する。
日光対策用は、
自動車の運転だけでなく、屋外スポーツや建設現場など、明るい屋外での計測精度を向上させることができる。
屋内用は、
製造現場や生産現場のように、目の保護を必要とする環境での活用が可能だ。


上が日光対策用、下が屋内用のG3保護レンズ


メガネを常用している人に向けに、着け外し可能な度付きレンズも別売で用意されている。+3から-5の範囲のレンズを0.5ディオプター(レンズの屈折率の単位)間隔で、両眼それぞれに利用できる。

トビー・テクノロジーブースのスタッフによると、これまでに500の民間企業や300の大学・研究機関で同社のアイトラッキングが活用されているとのこと。

アイトラッキングを活用することで、熟練者が見ているシーンやポイントがわかり、視点を分析することで、下記のような活用ができるという。
・新人の教育期間の短縮
・若手の設備点検の異常発見数を延ばす
・海外工場の教育期間を短縮
・工員の作業時間のスピードアップ


視線の位置、見た回数がわかる。


トビー・テクノロジーの今後の展開としては、
アイトラッキングを新人教育に関わることだけでなく、消費者行動やマーケティングの分野にもビジネスを広げていく。またアイトラッキングの技術を組み込んだ製品の開発を推進したいという。さらに自動運転技術にもビジネスを展開したいとのこと。

アイトラッキングを活用することで、
熟練者、いわゆる達人と言われる技術者の技術を見える化し、ほかの人や次の世代に継承することが可能となる。

アイトラッキングは、これまでは達人の「カン」や「コツ」、「経験」といった技術を、デジタル化できるだけに、幅広い分野での活用が期待できるだろう。

「Tobii Pro グラス 3」製品情報




ITライフハック 関口哲司