「膀胱炎」ってどんな症状?予防法についても解説!

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主に尿路に細菌が感染して発症する膀胱炎(ぼうこうえん)。よく知られる疾患ですが、単純性・複雑性など、さまざまな種類があることはご存じでしょうか。膀胱炎の症状や種類にはさまざまあり、疑われる場合は早期の受診が必要です。
今回は、膀胱炎の種類と原因、症状や受診科目、年齢差・性差などを紹介します。

膀胱炎の種類と原因

膀胱炎とはどのような疾患ですか?

膀胱炎とは尿を溜める「膀胱」に炎症を起こす、尿路感染症の一種です。多くの場合、細菌感染で発症します。外部から侵入した細菌が尿道を通って、膀胱まで侵入して増殖し、増殖した細菌が毒素を排出することで炎症が発生します。
細菌感染の中でも、特に直腸の常在菌が会陰部を通り、尿道から膀胱へ侵入する「逆行性感染」によって起こることが多いです。そして、細菌感染による膀胱炎は、大きく「単純性膀胱炎」と「複雑性膀胱炎」に分かれます。

単純性膀胱炎

単純性膀胱炎とは、どのような膀胱炎ですか?

単純性膀胱炎は、尿路に異常がない人の膀胱炎です。原因菌は大腸菌が70%を占め、ほかにプロテウス菌、肺炎桿(かん)菌などで発症します。
20~40代女性が最も多く発症し、閉経後の女性も発症することがあります。尿意を我慢したり、月経、妊娠、性交渉、便秘などが原因です。残尿感、頻尿などの症状が現れます。

複雑性膀胱炎

複雑性膀胱炎とは、どのような膀胱炎ですか?

複雑性膀胱炎は、基礎疾患を原因に発症する膀胱炎です。基礎疾患によって尿路で尿停滞が起こる、カテーテルなどの異物、糖尿病やステロイド剤の服用などで身体の抵抗力が低下する、などが原因で起こります。
また、前立腺肥大症や膀胱結石などによって排尿が妨げられることも原因になります。尿には膀胱の洗浄作用がありますが、排尿が妨げられることで感染しやすくなるのです。複数の菌に感染していることも、まれにあります。
複雑性膀胱炎は、こういった基礎疾患を治療しない限り治らないことが多いです。

その他の膀胱炎

他にはどんな膀胱炎がありますか?

ほかにも、間質性膀胱炎、嚢胞性膀胱炎、真菌性膀胱炎などがあります。
間質性膀胱炎は原因不明の膀胱炎です。膀胱の粘膜に尿が染みることで、間質に炎症が起きます。膀胱は200~400mlの尿が溜まると尿意を感じますが、間質性膀胱炎では膀胱が膨らみません。
膀胱が100ml以下で一杯になり、下腹部にひどい膀胱痛がしてトイレに行く回数が増えます。また、潰瘍が発生することもあります。
嚢胞性膀胱炎は膀胱の粘膜に袋のようなものができる膀胱炎です。真菌性膀胱炎は、かび(真菌)に感染することで、炎症を起こす膀胱炎です。

膀胱炎の症状

膀胱炎にはどのような症状がありますか?

膀胱炎の症状は主に、排尿痛、頻尿、尿の濁りの3つです。ほかにも、残尿感や下腹部痛などがあります。

排尿痛

膀胱炎の排尿痛は、どのような症状ですか?

膀胱は尿が溜まると広がり、排尿すると縮まります。膀胱炎によって炎症を起こした膀胱が、縮まるときに痛むのが排尿痛です。特に排尿の終わり際に痛むことが多く、下腹部が痛みます。
「絞られるような痛み」と表現する人が多いです。

頻尿

頻尿はどのような症状ですか?

頻尿とは、尿意を感じる回数・尿をする回数が増えることをいいます。症状がひどくなると、10分間隔でトイレに行くこともあります。トイレに行く回数が増えるため、1回で排尿される量は少ないです。
また、尿意切迫感といい、我慢できないほどの尿意が突然現れることもあります。残尿感があることも多いです。

尿の濁り

尿の濁り(にごり)はどのような症状ですか?

尿に膿のようなものが交じって、白く濁ります。これは、膀胱の中で増殖した細菌やその細菌と戦った白血球、はがれた粘膜です。匂いもきつくなります。

膀胱炎の受診科目と検査

膀胱炎のような症状が現れたら、何科を受診すればいいでしょうか?

泌尿器科を受診しましょう。

膀胱炎が疑われる場合は、どのような検査を行いますか?

尿検査を行います。尿に膿が含まれる膿尿(のうにょう)や、細菌が含まれる細菌尿で、膀胱炎と診断されます。白血球の量や細菌が調べられ、一定数以上が見つかれば膀胱炎です。
出始めの尿はおりものなどが混入しやすいため、中間の尿をとります。そして菌の種類を調べるために、尿中の細菌を培養します。
また、膀胱炎かほかの病気なのかを判別しなければならないことも。レントゲンや腹部超音波、内視鏡検査などで、前立腺、下部尿管や膀胱の結石、膀胱粘膜などを見ます。
また、膀胱炎の治療をしても効果が出ない場合は間質性膀胱炎が疑われ、内視鏡検査で膀胱粘膜を見ることで診断されます。

膀胱炎の性差・年齢差

膀胱炎に年齢差や性差はありますか?

膀胱炎は女性に多いです。それは尿道が3~4cmと男性に比べて短く、膀胱内に細菌が侵入しやすいため。特に性的活動期である20~40代女性が、単純性膀胱炎を発症しやすいです。
また、閉経後の女性も発症しやすい傾向があります。女性ホルモンの低下により膣内の常在菌が減少して、直腸内の細菌が侵入しやすくなることが原因です。

膀胱炎の治療方法

膀胱炎の治療をする場合、どのような治療方法がありますか?

膀胱炎の治療は、主に抗菌薬が用いられます。単純性・複雑性膀胱炎のどちらも「ニューキノロン系抗菌薬」または「セフェム系抗生物質」を服用します。症状は3~4日で改善することが多いです。
抗菌薬は、単純性膀胱炎で5~7日ほど、複雑性膀胱炎では7~14日ほど服用します。薬の服用が終わったら尿検査をして、抗菌薬を継続・変更するかを判断します。
自分の判断で薬の使用を中止するのはやめましょう。細菌は抗菌薬が効きにくい「耐性菌」が増えているため、完全に治るまで医師の指示にしたがってください。
また、尿が膀胱に溜まっている時間が長かったり、尿の量が少なかったりすると、膀胱内の細菌が繁殖しやすくなります。治療中は特に、水分の摂取量を増やして排尿の回数を増やし、こまめに排尿してください。
排尿痛や残尿感など、膀胱炎の症状に対する市販薬も販売されていますが、完全に治すには医療機関を頼りましょう。

膀胱炎の予防方法

膀胱炎を予防するために大事なことを教えてください。

膀胱炎を予防するには、膀胱内に菌を入れないことが重要です。水分を多めにとって小まめにトイレにいくことで、菌を尿で外に流しましょう。
女性は排便後に前から後ろに拭いて、肛門付近の大腸菌を尿道に入れないようにしてください。また、性行為中は細菌が尿道に侵入しやすいので、性行為後はトイレで排尿しましょう。
菌を増やさないために、免疫力を下げないことも重要です。バランスの良い食事や規則正しい生活習慣を心がけてください。

編集部まとめ

膀胱炎とは、尿を溜める膀胱に炎症を起こす、尿路感染症の一種です。多くは細菌感染であり、単純性膀胱炎と複雑性膀胱炎に分かれます。
ほかにも、原因不明の間質性膀胱炎や、膀胱の粘膜に袋のようなものができる嚢胞性膀胱炎、かびに感染する真菌性膀胱炎があります。
膀胱炎の症状は主に、排尿痛、頻尿、尿の濁りの3つです。ほかにも、残尿感や下腹部痛などがあります。
泌尿器科で尿検査を行い、白血球数や細菌が調べられ、一定数以上が見つかれば膀胱炎と診断されます。特に性的活動期である20~40代女性が単純性膀胱炎を発症しやすいです。
治療には抗菌薬が用いられ、単純性・複雑性膀胱炎のどちらも「ニューキノロン系抗菌薬」や「セフェム系抗生物質」を服用します。
膀胱炎が疑われる場合は、できるだけ早く泌尿器科を受診しましょう。早期の治療が早期治癒につながります。

参考文献

済生会 [膀胱炎]

いまもと泌尿器科クリニック [膀胱炎(ぼうこうえん)]