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悲願の決勝ラウンドが見えた!

いよいよ始まる北京五輪・パラリンピック。本日4日の開会式を前にすでに一部の競技がスタートし、日本からもアイスホッケー女子と男女モーグルの選手団が登場しました。そして早速ですが、素晴らしい勝利がありました。

日本選手団全体の最初の最初の最初に登場したアイスホッケー女子日本代表スマイルジャパン。スウェーデンを相手に迎えた幕開けの試合で日本は3-1と快勝。日本アイスホッケー界の悲願でもある決勝ラウンド進出を手繰り寄せる1勝を挙げたのです。


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日本アイスホッケーは男子代表が1936年ガルミッシュパルテンキルヘン大会に初出場して以降、男子が8大会、女子が北京を入れて4大会に出場していますが一度も決勝ラウンド進出はありません。「一度もない」どころか「到底届きそうもない」という形での敗退がつづいてきました。

男子は開催国としての出場だった長野五輪以降は出場自体がなく、自力で出場権を獲ったのは1980年レークプラシッド大会までさかのぼります。女子は長野での初出場後、ソチ・平昌・北京と近年は3大会連続出場としていますが、長野全敗、ソチ全敗、平昌ではようやくの初勝利を南北合同チーム(※そんなのあったね…)から挙げるも、決勝ラウンド進出には届かず6位となりました。日本のアイスホッケーは長い歴史のなかでまだ一度も「メダルに向かうトーナメント」を経験してきていないのです。

サッカーで言うところの「グループリーグ突破」に相当する大きな目標を持って臨む今大会。日本の初戦はまさに「試金石」となる試合でした。対戦相手のスウェーデンは実績ある強豪ですが、それ以上にとても縁のある相手です。何と日本とスウェーデンはソチでの初戦、平昌での初戦&順位決定戦、そして北京での初戦と五輪での対戦を重ねており、今回で「3大会連続この顔合わせの初戦」となったのです。過去2大会での結果は0-1、1-2、2-1での1勝2敗。ここで勝てるかどうかは、過去を超えているのかどうかを見極める大きな目安となるはずなのです。




迎えた初戦、日本の動きは冴えています。「滑り勝つ」とでも言わんばかりのハードワークで、しつこくしつこく追いかけまわし、攻守に渡って動きまわります。スウェーデンを自陣に押し込め、シュート数でも上回ります。サッカーで言うところの「前線からの激しいプレスによる猛攻」といった戦いぶり。今大会は日本国内の標準的な会場よりも4メートルほど幅が狭いNHLサイズのリンクとなっていることも功を奏したかもしれません。壁となって圧力となって日本の選手がスウェーデンの動きを封殺します。

そんななか試合が動いたのは第1ピリオド終了間際の19分。相手ゴール前での攻撃をつづける日本は、一旦リンクサイドに展開すると1対1の肉弾戦に競り勝ちます。すると、そこからの展開を恐れたか、スウェーデンの守備はサイドに引きずり出され、気が付けばゴール前では小池詩織さんがひとりで待ち構える状態になっていました。小池さんがフリーになっているのを見逃さずに大澤ちほさんがパスを送ると、真正面からスコーンと決めて先制点!キレイな崩しとナイスシュートで完璧な1点でした。



第2ピリオドに入ると、立ち上がりのフワーッとした時間帯を突かれ、開始30秒で同点弾を許した日本。ゴーリー(ゴールテンダー/要するにゴールキーパー)の藤本那菜さんがキャッチしたかに見えたシュートでしたが、つかみ切れず、脇からポロリと後ろにこぼれてしまいました。惜しい時間帯、惜しいプレーでの失点でした。

しかし、これで沈み込まないのがスマイルジャパン。思えば前回も「もう少し」というところで敗れた惜敗でした。試合終盤には相手選手との交錯の際、倒れた浮田留衣さんの起き上がる動きが「相手を蹴ろうとした」とみなされ、次戦出場停止となる場面もありました。総じて言えば「我慢が効かなかった」試合でした。厳しい場面、苛立ちが募る場面、そこを乗り越えるのもまたアイスホッケーで勝つには必要なことですが、4年前はまだそれが及ばなかった。

その点でも日本が強くなったのだと示したのが第3ピリオドの戦いでした。まず第3ピリオド44分、前回大会で悪夢の出場停止となった浮田留衣さんが4年越しの想いをぶつけるように、カウンターで持ち込んで勝ち越し弾。ゴーリーの肩口を抜いてズドンと決める見事な一撃でした。



追いかけなければいけないスウェーデンも攻撃を仕掛けてきますが、滑り勝つ日本の運動量とゴーリー藤本さんの堅守が立ちはだかります。特に見事だったのが交替時の不手際でひとり罰退となり、キルプレー(※相手が1人多い)となった47分過ぎからの2分間。相手がフリーで放ったシュートもありましたが、藤本さんが弾いて、弾いて、日本はゴールを守りつづけます。

キルプレー中の守備では、藤本さんが交錯のなかでスティックを落としてしまう場面も。ゴールを空けるわけにはいかず、スティックを拾いに行けないまま身体で壁を作る藤本さん。あの硬いパックが飛んでくる場所で棒の1本も持たないことの怖さたるや。その状態でも藤本さんはしっかり身体でシュートを跳ね返し、日本は2分間のキルプレーを凌ぎ切ります。

凌いだことでスウェーデンは捨て身の作戦を取らざるを得なくなります。残り2分というところでスウェーデンはゴーリーを外して「6人攻撃」を仕掛けてきました。相手の攻撃は1枚多いけれど、裏に抜けさえすればゴール前は無人です。この場面でも日本は5対6とは思えない動きでスウェーデンを追いまわし、身体を張ってゴールを守ります。

そして、試合時間残り1分。フェイスオフからパックを取った日本は、それをつないで一気に敵陣へ。パックを持ち込んだ米山知奈さんは、アタッキングゾーンに入る手前からのロングシュートを無人のゴールに叩き込みました。キレイに抜けてゴールに設置されたカメラにスコーンと当たる気持ちのいいゴールは、相手の心ごと折る決定的な3点目。試合時間はあと1分ありましたが、スウェーデンはこれで「ポッキリ」といきました。あとは冷静に時間を使い切って日本快勝!

↓スマイルジャパン勝ちましたーーーーー!!



勝因の一番大きなところは常に滑り勝った運動量でした。よく動き、よく攻め、よく守りました。コロナ禍の2年間、国際大会はなかなか開催できず2020年の世界選手権は中止となりました。今もなお海外遠征は難しい状況にあります。そうした時間に何をしてきたか。楽しい試合形式の鍛錬、楽しい大会形式の鍛錬の代わりに、地味でつまらないトレーニングをやってきたからこその運動量だったなと思います。見事な勝利でした。

初戦快勝の日本はこのあと1日休んでデンマーク・中国・チェコと予選リーグ残り3試合を戦います。このうち中国は開催国としての出場でチカラが一枚落ちるものと見込まれますので、5チーム中の上位3チームが進む決勝ラウンドへの進出はハッキリ見えてきました。日本アイスホッケー史上初の決勝ラウンド、しっかり白星を重ねてつかみ取って欲しいもの。

そして、できるならば1位抜けを狙って欲しいところ。勝利を重ねてグループ1位で抜ければ、準々決勝ではアメリカ・カナダというアイスホッケー界の巨人との対戦を避けることができるはず。アメリカ・カナダに勝つのはちょっと難しそうですが(※昨年8月の世界選手権では準優勝のアメリカに2-10で負け)、それ以外ならば勝負の糸口はあるでしょう。ソチ大会出場を自力で勝ち取った面々からの「スマイルジャパン」としての集大成の大会、いい結果で終えられるよう、勝って、勝って、勝ちまくってください!

できるぞ、やれるぞ、やったるぞ!

↓NHKによるハイライト動画はコチラです!


幸先のいいスタートで日本選手団全体にも勢いがつく試合でした!