富士通は12月2日、医療従事者が、医薬品に関する適正使用情報などの様々な情報を、電子カルテシステムを通じて直接閲覧できるクラウドサービスを、同日より日本国内で提供開始することを発表した。

サービスのイメージ

同サービスは、厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティの高いネットワーク経由で、処方オーダー画面など日常的に参照する電子カルテシステムの多くの画面から、医薬品の適正使用情報をはじめとする様々な情報を取得可能とするもの。医療従事者は、医薬品に関連する基本情報や専門性の高い情報、服薬指導箋などの情報を、それぞれの業務で使用する電子カルテ端末の各画面から容易に参照できる。

これにより医療従事者は、診療現場で必要となる医薬品の情報を少ない負担で収集することが可能となり、安全で質の高い医療と患者のQOL向上につなげることができるとしている。また、製薬企業にとっても、これまでMRや会員制サイトなどを通じて医療従事者に提供してきた情報をクラウド上に医薬品に関する情報を集約し、複数の医療機関へ一括で提供できるとともに、医療従事者の閲覧ログから情報参照ニーズを分析できるという。

なお、2つの病院で実施した実証実験では、医師による1カ月間の情報閲覧件数は合計4,683件で、このうち診療が行われる主な時間帯の午前9時から午後5時までの閲覧件数は3,397件(全時間帯の72.5%)と、診療時に医薬品に関する情報を参照したいニーズが高いことが確認できたということだ。

富士通は同サービスの展開に関して、電子カルテシステムを導入している大規模医療機関から始め、2026年3月末までに600の医療機関への導入を目指す。今後は地域医療ネットワーク網にも連携させ、2026年3月末までに3,600の地域医療ネットワーク連携施設への導入を目指すとしている。