【“女性バディドラマ”最強ランキング】2位は懐かしの『素顔のままで』がランクイン
『MIU404』の星野源×綾野剛、『SUIT』の織田裕二×中島裕翔など男性バディは毎年誕生しているのに、女性バディはそれほどでも……。7月7日からスタートする女性バディドラマ『ハコヅメ』に先駆けて、これまでの作品をプレーバック。最強女性バディを決めよう!
女性バディが少ない理由
「男性のバディドラマは多くヒットしているのに女性となると思い浮かばない人も多いのではないでしょうか」
とは、ドラマウォッチャーの神無月ららさん。そんな女性バディものの歴史を変えるかもしれない作品が夏ドラマにやってきた。
戸田恵梨香×永野芽郁の『ハコヅメ』(日本テレビ系、水曜午後10時)。
「原作は漫画『モーニング』で連載中の、元警察官の経歴を持つ泰三子さんの作品。刑事課の元エース・藤聖子(戸田)と新人の川合麻依(永野)の交番勤務の凸凹コンビが織りなす《交番エンターテイメント》。女性バディものの金字塔になるかが注目されています」(ドラマ関係者)
『週刊女性』で女性バディものといえば思い浮かぶ作品を男女1000人に聞いたところ、約3分の1にあたる289人の人が「ない」と答え、挙がったのはわずか4作という結果に。
テレビウォッチャーの吉田潮さんは、
「バディというと職業ものですよね。女性の職業ものってなかなか難しいんです。それこそ『ナースのお仕事』(フジテレビ系)の観月ありさ×松下由樹はうまく乗っかったからヒットしたのでしょうね」
と、女性バディが少ない理由を分析する。神無月さんも、
「単純にバディをドラマ仕立てで作る場合の職業選択として、いちばん作りやすいのは刑事とか探偵とかの事件解決ものなんですよね。『相棒』しかり、『傷だらけの天使』しかり」と、男性が主人公になりがちな点を指摘する。
数少ない女性バディものだが、『ハコヅメ』に先駆けて過去の注目作品をプレーバック!
あなたが選ぶ最強女性バディといえば?
バディもの名作『ナースのお仕事』『素顔のままで』
●観月ありさ×松下由樹 【298票】
『ナースのお仕事』('96年〜フジテレビ系)
多くの人がバディものとして名前を挙げたのが同作。主人公のドジなナース朝倉いずみ(観月ありさ)が、指導役の先輩看護師・尾崎翔子(松下由樹)らに叱咤激励されながらも1人の女性として成長していく姿を描いた。'96年のシーズン1を皮切りに'02年のシーズン4まで定期的に放送。映画化もされた人気作。
「医療ものでもナースに焦点を当てることで、女同士のバディを作り上げることに成功したドラマですね。“あ〜さ〜く〜ら〜!”、“せ〜ん〜ぱ〜い!”、ってもうこの台詞だけで面白いことが起きそう。コメディーイメージのなかった観月ありさや松下由樹をコメディエンヌに押し上げ、相手役の藤木直人も人気者にした、出演者全員にとっても福の神のようなドラマでした」(神無月さん)
●安田成美×中森明菜 【237票】
『素顔のままで』('92年〜フジテレビ系)
安田成美と中森明菜主演の'90年代を代表する、女性バディもの。
北川悦吏子がその後のフジ月9時代を作り上げる先駆けとなった作品だ。
安田成美演じる優美子は図書館司書として勤務する、過去に負った傷で心に蓋をしながら生きる女性、片や中森明菜演じるカンナは、暴走族上がりのガラッパチなキャラだが、ミュージカルスターを夢見る本当は優しい女性、という「キャラクターの全く違う2人」をかけ合わせた、ある意味王道路線のバディもの。
「キャラの違いを際立たせるために、ドスのきいた低音で“ゆみごおぉぉ!(優美子)”とがなる中森明菜のモノマネも流行ったと記憶するほど、話題になった月9作でした」
波瀾万丈のストーリーもウケて、最高視聴率は31・9%を記録。
ドラマ評論家の田幸和歌子さんも同作を挙げる。
「お互いに最初は反発しながらも、自分にないものを持つ相手に惹かれていきます。優美子が結婚した相手は留学で去り、優美子の妊娠が発覚。出産すれば優美子の命が危険という状況になり、カンナは当然産むことに大反対しますが、優美子の産みたいという意思が尊重され、出産することに。
優美子は結局命を落としてしまうのですが、その子どもを育てる母としてのカンナの優しい顔に、救われる思いでした。
真逆のタイプが惹かれあい、影響を及ぼしあい、最終的には生みの親と育ての親として1人の子を守っていく。その関係性は、今では映画などで増えているシスターフッドものの連ドラの原点のようでもあります」
W浅野がバディ、バブルを象徴した作品も
●波瑠×鈴木京香 【176票】
『未解決の女』('18年〜テレビ朝日系)
バディものといえば『相棒』の例に漏れず、視聴者が真っ先に思い浮かべるのは刑事ドラマだろう。そんな王道刑事ものを女同士で組み合わせた同作。
肉体派熱血刑事・矢代朋(波瑠)と、文学フェチの頭脳派刑事・鳴海理沙(鈴木京香)が文字を糸口に未解決事件を捜査する。
「今年の大河『青天を衝け』の脚本でも話題の大森美香さんが、秘蔵っ子の波瑠と2回目のタッグを組んだ作品です。鈴木京香演じる、人嫌いで文学マニアの鳴海と、波瑠演じる矢代朋が主人公。
この2人もバディものの王道である“全くキャラの違う2人のコントラスト”がドラマの色になっています。波瑠演じる矢代朋は、腕っぷしは強いが緻密な推理は苦手な脳筋デカ。その矢代の頭脳となって捜査の指示を出すのが鳴海。
純粋な朋に感化され、人嫌いだけど姉のような愛情をほんのり芽生えさせる鳴海を、鈴木京香がさすがの貫禄で演じていました。年の離れた2人のバディものではこの“姉と妹”のエッセンスも入りやすいですね」(神無月さん)
このコンビに異を唱えたのはテレビウォッチャーの吉田潮さん。
「波瑠のミスキャスト感が否めませんでした。どう考えても体育会系じゃないしどちらかというと文科系のツンとした役のほうが合っている。鈴木京香は似合っていたのですが、バディとなると相性がよいとはあまり言えない」
●浅野温子×浅野ゆう子 【152票】
『抱きしめたい!』('88年〜フジテレビ系)
スタイリストとして活躍する麻子(浅野温子)のマンションに、ある日、幼稚園以来の四半世紀の親友・夏子(浅野ゆう子)がスーツケースを抱えて転がり込むことから物語は始まり、当時のおしゃれがぎっしり詰まったバブルを象徴した作品。
「夏子は麻子の元恋人と結婚したにもかかわらず、夫の女性関係などで悩むたびに泣きつき、麻子の新しい恋にちょっかいを出そうとする。正直なかなか鬱陶しいと思ってました。
振り回されつつも麻子が選ぶのは結局元恋人でも、新しい恋人でもなく、やっぱり四半世紀の友情の夏子。なんだかんだ放っておけないし、好きなのだからしかたない。2人の関係はそれで成り立っているのでしょう。そして、ふだん身勝手で、振り回してばかりの夏子がたまーーーに麻子のために動いたりするときにグッとくる効果もありました」(田幸さん)
◆番外編 私の注目バディ
ここからはウォッチャーのみなさんイチオシの作品をそれぞれ挙げてもらった。
●石原さとみ×市川実日子
『アンナチュラル』('18年〜TBS系)
「ここまで挙げてきた作品の中のバディは、一緒に住んだり姉と妹風になったり、精神的擬似家族になったり、ある意味“濃い”女同士の友情が描かれている作品だと思いますが、『アンナチュラル』('18年TBS系)のNICUラボの2人、ミコト(石原さとみ)と夕子(市川実日子)は職場の同僚。
同僚だけど親友。親友だけどケンカもするし、ケンカしてても仕事はきっちり協力する。そのあたりの描き方がとても自然で、いちばん視聴者にとっては“近さ”を感じさせるバディだと思います。
野木(亜紀子)脚本の日常感あふれる台詞を、さらに生々しく“すごくそのへんにいそうな魅力的な2人”に押し上げた、石原さとみと市川実日子の演技と空気感もとてもよかった」(神無月さん)
●吉高由里子×仲間由紀恵
『花子とアン』('14年〜NHK)
「貧しい小作農家に生まれたはな(吉高由里子)と、伯爵の異母妹として生まれた蓮子(仲間由紀恵)。片や愛情たっぷりに育った少女と、14歳で政略結婚させられ、16歳で出産。子どもを取りあげられて離縁するなど、家族の愛を知らずに育ったお嬢様。
真逆に見える境遇の2人が、文学の話で意気投合し、腹心の友になります。まるで太陽と月のような表裏の関係性の2人は、ときには恋愛にも似た強い思いで結ばれていて、きらきらと美しく、ときに悲しく、魅力的でした」(田幸さん)
●広瀬アリス×水野美紀
『探偵が早すぎる』('18年〜日本テレビ系)
吉田潮さんは「女性バディ主人公で成功している作品はない」としながらも、脇役で光ったバディを挙げる。
「『探偵が早すぎる』('18年日本テレビ系)の広瀬アリス×水野美紀です。突如遺産5兆円を相続することになる女子大生(広瀬)と彼女の母親代わりの家政婦(水野)という役どころなんですが、正式にバディではないけれど、2人の相性がよくてもっと見たいという気持ちになりましたね。
この2人はコメディー筋肉がめちゃくちゃ発達しているんですよ。誰かこの2人を主役にバディものでキャスティングしてくれませんかね?(笑)」
●永作博美×香里奈
『ダーティー・ママ!』('12年〜日本テレビ系)
バディというと相性が大事になってくるが、
「アフロヘアの永作が捜査中も息子をベビーカーに乗せて連れ歩いて、その世話をするのが新人刑事の香里奈というものでした。ツッコミどころが多すぎですが、まず香里奈が振り回される新人刑事役がハマっていなかった。こんなにアクが強い設定なのに私も詳細を覚えていません……」(吉田さん)
7月7日からスタートする『ハコヅメ』の相性はどうなのだろうか。
「2人のやりとりがどこまでコメディーにできるかですよね。戸田恵梨香はコメディー筋肉が発達していますし、永野芽郁との相性次第ですね。戸田恵梨香にはビシバシと新人・永野を鍛えてほしいですね。期待しています」(吉田さん)
女性バディの新たな歴史を刻むことができるか。注目が集まる。