7000万ユーロという高額な移籍金でリールからナポリに加入したオシメーン。(C) Getty Images

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 今シーズン、リールからナポリに移籍したヴィクター・オシメーンは、笑顔がとても魅力的だ。だが、彼は恵まれない幼少期を過ごしてきた。

 21歳のナイジェリア代表FWは、ナポリの公式メディアで、「小さいころに母を亡くし、3か月後に父が仕事を失った。僕ら兄弟姉妹には、とても難しい時期だったよ。生き延びるために、ラゴスの路上で水を売らなければいけなかった」と振り返っている。

「希望がなく、自分を信じていると言ってくれる人がだれもいないところだった。良い生活を送るために、自分と家族にとって、サッカーだけが唯一の希望だと思っていた」

 オシメーンは「今いるところを幸せに思う。くじけず、自分を信じることを学んだ。人生で父が苦しむのを見てきて、それが成長する中で多くの教えになったと思う」と続けている。

「僕は生きるために闘わなければならなかった。とても若くして家を出て、芝刈りやご近所への水運びなど、何とか仕事をしようとした。食べるため、家族を助けるためだ。厳しい幼少期だった。本当に、良かったことなんて何もない。つねに闘いだった。それが今の自分になる助けになったんだ」
 
 母国の英雄ディディエ・ドログバがアイドルというアタッカーは、「夢がかなった。3年前、自分が世界有数のクラブと契約すると言われても信じなかったよ。ヴォルフスブルク時代は難しかったし、ベルギーの2クラブに断られた。最後にようやくシャルルロワに雇ってもらえたんだ」と話している。

「当時は本当にストレスフルだった。ナポリと契約すると言われても、あり得ないと答えていただろう。今は不可能がないと信じている。僕は自分のことをやり続け、仕事を続け、そして今ここにいる。夢がかなった。感謝している」

 だが、夢には続きがある。ナポリの人々の歓迎に感銘を受けた様子のオシメーンは、「アフリカ年間最優秀選手になるのが夢だ」とも口にしている。

「僕は正しい道にいると思う」

 想像を絶する苦労を経て、プロサッカー選手となり、欧州の大きな舞台に立つようになった男は、ナポリで新たな夢の実現を目指す。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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