岡崎慎司が見た久保建英の“凄み”とは? スペインで実感「技術だけ上手い選手は今までもいた」
【岡崎慎司インタビュー|第3回】コパ・アメリカで共闘、岡崎が見た同じスペインで戦う久保建英の姿
ウエスカの日本代表FW岡崎慎司は、初めてのスペイン挑戦となった2019-20シーズンで12得点を奪い、チームの2部優勝に貢献した。
開幕当初に所属したマラガが財政難に陥り、選手登録ができない状況になるなど波乱の幕開けとなったが、移籍市場の締め切りギリギリで加入したウエスカでも、ベンチスタートの時期を乗り越えチーム最多ゴールを記録。“助っ人”ストライカーとして結果を残した34歳FWが、「Football ZONE web」の独占インタビューに応じた。3回目となる今回は、同時期にスペインへ渡った日本代表MF久保建英について語った。
岡崎が初めてスペインに挑戦し、37試合12得点でチームを2部優勝、1部昇格に導いた今季、日本の19歳MF久保も開幕後にレアル・マドリードからマジョルカへ期限付き移籍し、初挑戦となったリーガ・エスパニョーラ1部の舞台で、その力を見せつけることとなった。
岡崎と久保は昨年6月、日本代表が参加した南米選手権(コパ・アメリカ)に出場。グループリーグ第1戦チリ戦(0-4)では、久保が先発、岡崎は途中出場で初めて同じピッチに立った。第2戦ウルグアイ戦(2-2)では、先発の岡崎に対して久保が途中出場。そして、第3戦のエクアドル戦(1-1)では、ともにスタートからピッチに立ち、岡崎は1トップを務め、トップ下に久保が入った。代表でも一緒に過ごした久保について、岡崎が考える凄さを語った。
「まずは年齢じゃないですかね。あの年齢で今の完成度は凄い。結果だけじゃない。もちろん、あの年齢で(リーグ戦)4得点4アシストは凄いけど、サッカーの理解度が凄いなと思いますね。それに伴う技術とかプレースピードがついてくるのが一番凄いことだけど、まずはサッカーを理解して判断を間違えないのは、あの年齢でサッカーを分かっていないとできない」
久保は昨夏にFC東京からレアル・マドリードへ完全移籍。プレシーズンではトップチームに同行し、見せ場も作っていた。その後、武者修行のためにスペイン1部マジョルカへ期限付き移籍。35試合に出場し、4得点4アシストという結果を残した。特に新型コロナウイルスによる中断明け以降は圧倒的なパフォーマンスを見せ、チームの中心として活躍した。
「もともとそんなに甘くないと…」 岡崎の考えもひっくり返した久保「自分で証明」
この活躍を岡崎も同じスペインで戦いながら見ていた。バルセロナの下部組織「ラ・マシア」出身で、幼い頃から注目を浴びてきた久保。帰国後に所属したFC東京、期限付き移籍した横浜F・マリノス、そして日本代表でも数々の“最年少記録”を打ち立て、昨夏にレアルへ移籍。着実にステップアップしてきた久保だが、岡崎は「僕はもともと、そんなに甘くないと思っているほうだった」という。
久保は第3節バレンシア戦、途中出場でリーガデビューを飾ると、第6節アトレティコ・マドリード戦で先発デビュー。徐々に出場時間を伸ばしていたが、年明けにはベンチスタートの試合が続くなど“我慢”を強いられる時期もあった。それでも、新型コロナウイルスによる中断期間でもコンディションを落とすことなく、最後には絶対的な存在へと成長。マジョルカでの1年を終え、シーズンオフには“久保争奪戦”が国内外で繰り広げられた。岡崎の所属するウエスカも興味を示し、グラナダやレアル・ソシエダ、セビージャ、オサスナ、ベティス、レバンテ、セルタ、バジャドリード、ヘタフェなどスペイン国内クラブのほか、オランダ王者アヤックスやフランス王者パリ・サンジェルマンも関心を示していた。
「みんなが欲しがるに値する活躍だった。でも、それを自分で証明したのが凄いなと思いますね。技術だけ上手くて『こいつ期待できるだろ』という選手は、今までもいた。でもそれを自分で証明した。マジョルカでも最初から良かったわけではなくて、自分でもがいて、短期間で結果も内容も変えてきた。ただ若いという選手ではない。それが今までの選手と違うところかな。常に満足しないという。これがいつまで続くか分からないけど、今のやり方でやっていたらどこに行ってもやれるだろうなと思う。コパの時とはまた違う」
急速な成長曲線を描く久保に対し、岡崎は、周囲の声に惑わされず、自らの力で打開していく姿勢に感嘆した。その凄みは同じスペインの地で戦う岡崎だからこそ実感することもある。久保がビジャレアルに移籍したことで、新シーズンではリーガ1部での対戦が実現する。日本のファンにとって、この2人の対決は目の離せないものとなるだろう。(Football ZONE web編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)