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 プレミアリーグの2019-20シーズンが終わった。

 最終節が7月26日に英国各地で行なわれ、リバプールはニューカッスルを3−1で下した。すでにリーグ優勝を決めているリバプールは勝ち点を99まで伸ばし、クラブの最多勝ち点記録を更新した。


ニューカッスル戦で2度目の先発を果たした南野拓実

 この試合で、南野拓実は国内リーグ2度目となる先発出場を果たした。

 CFのディボック・オリギ、右FWのアレックス・オックスレイド=チェンバレンとともに、南野は左FWの3トップ一角として出場。鋭いミドルシュートが相手GKのファインセーブに阻まれるなど惜しいチャンスはあったが、無得点のまま後半19分に退いた。

「レギュラー組を脅かすレベルには、まだ達していない」

 南野についてそう語ったのは、リバプールで1990年から1999年までプレーした後、レアル・マドリードで4シーズン活躍したスティーブ・マクマナマンである。

 厳し目の評価をすることで知られる元イングランド代表MFは、オリギ、オックスレイド=チェンバレン、南野の控え組の3トップでは連係面で難しさがあると語った。

「あまり先発の機会がありませんが、南野のプレーはどう映りましたか」との問いに、マクマナマンは次のように答えた。

「南野は、今日もゴール周辺にいただけだった。これはほかのFW、つまりオリギとオックスレイド=チェンバレンにも同じことが言える。モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノのレギュラー組の代わりをパッと務めるのは非常に難しい。

 もし、南野が3トップの一角としてサラーとフィルミーノと一緒にプレーした場合、あるいはマネとサラーとプレーすれば、日本代表のパフォーマンスもよく見えるようになるだろう。だが、レギュラー組が一気に抜け、控え組が3人でプレーした場合、連係が難しくなる。この3人がうまくハマるのは難しい」


 マクマナマンの話は南野個人についても及んだ。

 同氏曰く、マネ、サラー、フィルミーノの強力3トップを擁するリバプールは、チームとして完成の域に達している。一方の南野は、オーストリアリーグから冬の移籍市場でプレミアリーグに加わったばかり。しかも、今季は新型コロナウイルスの感染拡大による混乱もあった。国の違うイングランドで活躍するには適応の時間が必要だと話した。

「今は、まだ出場時間を与えられているだけの状況だ。南野はチームに加わったばかり。来シーズン、または翌々シーズンにチャンスが出てくる。彼はまだ若い。

 まずは英語を覚える必要があるし、チーム戦術にも馴染む必要がある。そのため、現時点で南野について評価を下すのは難しい。とくに今は、リバプールが無敵の状態にあることも考慮しないといけない。彼はこれからよくなると思う」

 南野をこのように擁護しながらも、リバプールの問題点として、レギュラー組と控え組に大きな力の差があるとも指摘した。

 実際、ニューカッスル戦では南野、オリギ、オックスレイド=チェンバレンとの交代で、サラー、マネ、フィルミーノがピッチに入ると、攻撃のスピードが一気に跳ね上がった。それまでは5バックで守備を固めるニューカッスルに手を焼いていたが、チャンスの数も増えた。

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「オリギを例に出そう。これまでスーパーサブとして出番が与えられ、昨シーズンのCL準決勝のバルセロナ戦のように大事なゴールも決めてきた。ニューカッスル戦でも追加点を挙げた。だが、先発候補としてレギュラー組を脅かすレベルにはまだ達していない。

 南野とオックスレイド=チェンバレンにも同じことが言える。彼ら3人は、これからまだまだ成長していく必要がある。レギュラー組と肩を並べるには、もっと、もっとハードワークが必要だろう。実際、試合でFWがレギュラー組に替わった途端、プレーテンポが一気に上がった。ゴール前での怖さも格段に上がった」


 ただ、南野個人への英メディアの評価は上々で、地元紙『リバプール・エコー』は南野に7点の高い評価を与えた。

「左サイドで忙しく動き、カットインした時は常に危険だった。シュートはGKドゥブラフカに阻まれたが、ボールを巧みに使い、力強かった」と記し、「リバプールに加入してから、これまでの試合で最も印象的だった」と褒めた。

 しかし、クラブOBのマクマナマンの目には、さらなる成長が必要と映ったようだ。

 タイトルホルダーとして挑む来シーズンは、シティとユナイテッドのマンチェスター勢、チェルシーの逆襲が予想される。加入1年目の今季、南野はゴールやアシストなど目に見える結果を残せなかったが、リーグ連覇を狙う来シーズンは日本代表FWの奮起も必要になる。