山崎賢人主演『グッド・ドクター』今夜再放送 「それでも医者か」「お前が死なせた」3話

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新型コロナ感染拡大の影響で、各テレビ局はドラマの撮影や番組の収録が行えず、過去の番組の再放送や再編集版、傑作選などが多く放送されている。

今夜22時より、山崎賢人のフジテレビ初主演作「グッド・ドクター」(2018年7月〜9月)の第3話が再放送される。「グッド・ドクター」は、日本にたった0.3%しかいない小児外科医の世界を舞台にしたメディカル・ヒューマンドラマ。上野樹里、藤木直人、中村ゆり、戸次重幸、柄本明といった実力派が出演。山崎演じる主人公のどこまでもピュアで愛らしい姿に、ほろっと泣けて、くすっと笑えると話題になった。

放送時に掲載した、むらたえりか氏によるレビューを再掲する(日付などは当時のまま掲載)。

「それでも医者か」「お前が死なせた」3話。韓国版と違ってしまう必然を考えてみる


湊「瀬戸先生は、どうしていつも通り仕事ができるんですか? 僕は悲しいです。とてもとても悲しいです」
夏美「医者が悲しんだところで、美結ちゃんは帰ってこない。私はあの子に、何もしてあげられなかった」

7月26日放送の木曜劇場『グッド・ドクター』(フジテレビ系)3話。絞扼性イレウス(腸閉塞)を発症した女の子・市川美結(竹野谷咲)が、病院をたらいまわしにされたのち東郷記念病院に搬送されてきた。高山(藤木直人)が謹慎中のため、夏美(上野樹里)が美結の手術を担当することに。最善を尽くしたが、発症から4時間以上経過して重篤な容態になっていた美結は、手術中に亡くなってしまった。

こどもの救急搬送の現実は? たらいまわしの恐怖


夏美「私は、ご両親から美結ちゃんを奪った。ごめん、あなたにもつらい思いをさせて」

初めての執刀で患者の命を救うことができなかった夏美は、気丈に振る舞うものの責任と後悔に押しつぶされそうになっていた。天国にいる美結を思い、亡くなった美結のために何かしてあげたいと思う湊(山崎賢人)に、夏美は詫びる。

しかし、夏美の執刀にミスがあったわけではない。こどもの患者を受け入れてくれる病院がなかなか見つからず、範囲を広げてようやく対応できたのが東郷記念病院の小児外科だったのだ。病院を探している間に美結の症状は悪化しており、本当は手術が始まった時点でどうすることもできなかった。

自分の娘がたらいまわしに遭っている状況を目の当たりにしていた両親は、怒りややるせなさを夏美にぶつけてしまう。「それでも医者か」「お前が死なせた」という言葉を、夏美は受け入れることしかできない。

総務省消防庁の統計では、消防への通報から救急車で患者が病院に運ばれるまでの搬送時間の平均は39.4分だそうだ(2015年)。美結は発症から4時間以上経過とのことだったが、搬送にどれだけの時間がかかったのだろう。一概には言えないかもしれないが、もし平均と比べてこどもの受け入れには特に時間がかかるということであれば、そういった現実も知っておきたい。

日本に必要なのは自閉スペクトラムへの理解


原作となっている韓国の同名ドラマでは、数話にまたがって1人の患者と向き合う。1つの話の中で数人の患者たちが交流する場面もあり、それが患者や医師たちの成長や気づきに繋がっていくヒューマンドラマだ。

日本版では、未受診妊婦、未成年妊娠、たらいまわしなど、1話ごとにひとつずつ日本の小児科まわりの医療の問題をピックアップしている。湊が飛び込んだ小児外科の世界。そこで湊と一緒になって小児医療の問題に気づき、医療現場がどう在ってほしいかを考えることができるように再構成されている。社会派医療ドラマの側面も感じる。

韓国版が自閉症のパク・シオン(チュウォン)の人生を見守り応援する物語だとしたら、日本版は湊に共感していく物語なのかもしれない。同じレジデントの中島(浅香航大)や丸井(松居大悟)らの湊への当たりのキツさは、だいぶ過剰に見える。でも、それも日本の自閉スペクトラムへの無理解を考慮したものとすれば妥当にも思えてくる。

第4話では、話ができない身元不明の少女が登場する。韓国版では「犬と一緒に育てられた狼少女」という驚きの設定だったが、日本版ではいくらか現実に即した境遇になっているようだ。今回はオペ室に入ることも許されず、医師としては何もできなかった湊。次回、いよいよ担当医となり、豊富な知識と感性でレジデントとしての活躍が見られることが楽しみだ。
(むらたえりか)

※山崎賢人の「崎」は「たつざき」が正式表記

番組情報


フジテレビ系 木曜劇場
『グッド・ドクター』
4月23日(木)22:00〜22:54 再放送
出演:山崎賢人、上野樹里、藤木直人、戸次重幸、中村ゆり、浜野謙太、板尾創路、柄本明、他
(c)フジテレビ