ロシアの首都モスクワにある展示場で、年次教書演説に先立ち国歌放送を聞くウラジーミル・プーチン大統領(2020年1月15日撮影)。(c)Mikhail KLIMENTYEV / SPUTNIK / AFP

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【AFP=時事】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領(67)は、電撃的な内閣総辞職と憲法改正案をもってして、政治体制の刷新に乗り出した。

 だが、プーチン氏の真の狙いは何なのか? 長期にわたりロシアを率いてきたプーチン氏は2024年に最終任期を満了する予定だが、この体制刷新は同氏の権力維持にどのような意味をもたらすのだろうか?

 これについて、アナリストや評論家らの見解は一致しているようだ。プーチン氏は、国民の信頼低下を招いてきた政治体制を一新するとともに、自身の政治家としての将来のための基盤づくりを行っているとみられている。

■プーチン氏の今後は?

 プーチン大統領は15日に行った年次教書演説で、大統領の権限を縮小し、議会の役割を強化する憲法改正案を発表した。改憲が実現すれば、首相と閣僚は議会によって選出されることになる。

 専門家らは、大統領権限を制限するプーチン氏の計画について、大統領退任後に新たな役職に就任する準備を整えていることを明確に示していると指摘している。

 ロシア政治アナリストのマリア・リップマン(Maria Lipman)氏は「プーチン氏は今後も過去20年間と同様、ロシアの中心的人物であり続ける」と述べた。

 プーチン氏は2024年以降も、地方知事や政治任用者で構成される諮問機関、国家評議会(State Council)の議長や、強い権力を有する安全保障会議(Security Council)議長の座にとどまる可能性がある。プーチン氏が15日に発表した提案の中には、国家評議会の役割を拡大し、憲法に明文化することも含まれている。

■なぜ今なのか?

 プーチン氏は今も70%前後の支持率を保っているが、国民の多くが不満を抱えていることは理解しているようだ。年次教書演説では「変革に対する明らかな要求」があると述べ、そのわずか数時間後にはドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相が内閣総辞職を発表した。

 プーチン氏は18年の大統領選挙で圧勝し再選を果たしたものの、年金改革で反発を招き、支持率が低下。さらに、ロシア経済は原油価格の下落や14年のクリミア(Crimea)半島併合をめぐる西側諸国の制裁に圧迫され、停滞しており、国民所得も低下が続いている。

 昨年の夏には地方選で野党候補者らが排除されたことに対する抗議デモが首都モスクワで行われ、数千人が参加。プーチン氏が首相就任を経て大統領職に復帰した12年以降で最大の反政府デモとなった。

 21年には下院選が予定されているが、世論調査によると与党・統一ロシア(United Russia)の支持率はわずか33%にとどまっている。

■新首相の役割は?

 プーチン氏の長年の側近で、08〜12年には大統領を務めたメドベージェフ首相は、批判の矛先としての役割を担うようになり、支持率も30〜38%と低く、足手まといと化していた。

 心機一転を図ったプーチン氏は、メドベージェフ氏の後任として、比較的無名だが手堅い実績のあるミハイル・ミシュスチン(Mikhail Mishustin)連邦税務局長官(53)を指名した。

 ロシア下院は16日、この人事案を圧倒的賛成多数で承認。ミシュスチン氏は承認前の演説で、議会に対しプーチン氏の計画を早急に実行するための協力を呼び掛け、「真の変化」をもたらすと宣言した。

 ミシュスチン氏は、硬直化し腐敗した税務局を改革し、近代的で評判の高い組織へと変えることに成功した行政的手腕が高く評価されている。一方でプーチン氏の後継者になるとは考えにくく、政府の支持率回復につながる改革の実行に注力できる人物だ。

 カーネギー国際平和財団モスクワ・センター(Carnegie Moscow Centre)のドミトリー・トレーニン(Dmitry Trenin)所長はツイッター(Twitter)で「ミシュスチン氏のロシア首相への抜てきは、非常に重要な内政課題に注力することになる内閣に、より有能なリーダーを置く意図がある」と指摘した。

【翻訳編集】AFPBB News

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