吉野家が勝ち、鳥貴族は転落。2019外食チェーン戦争の勝者と敗者とは

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―[あの企業の意外なミライ]―

 サイゼリヤ、和民、マクドナルド、吉野家鳥貴族…。チェーン飲食店は浮き沈みが激しい業界と言われます。たとえば、つい数年前まで絶好調だった「いきなりステーキ」を運営するペッパーフードサービス。同社は今年10月の月次動向発表で、既存店売上高は前年同期比41.4%減、客数同期比40.5%減と大幅なマイナスとなったことを公表しました。

 一方、吉野家ホールディングスは2019年2月期に60億円の赤字に転落してから一転、黒字転換に成功しています。外食産業は、なぜここまで好不調が分かれるのでしょうか? 今回は、吉野家の業績をチェックしながら、外食産業の景気動向を予測する方法を5分ほどで解説してきます。

◆外食業界を知るなら、まずは「既存売上高」

 外食業界の好不調を知るための重要な指標として毎月公表されている「既存店売上高」という指標があります。既存売上高は、開店から1年以上経った既存店の売上高のことで、開店したばかりの新店を含まない傾向があります。なぜオープンしたばかりのお店を指標から外すのでしょうか。

 それは、新規出店した店舗は、物件費用や新しい従業員の採用などの初期費用がかかるからです。この新規店舗の費用は、既存店の稼ぎでまかないます。そのため、既存店売上高が重視されるのです。簡単に言えば、「新しく事業を始めるのはいいけど、ちゃんと貯金があるの?」ということです。

◆吉野家は201%の成長率!

 では、好調が続く吉野家の既存売上高はどうでしょうか。2018年3月〜9月までは、既存店売上高が100%を超えていますが、10月〜2月は100%を割り込む状態となっていました。

 その時期、吉野家ホールディングスは2019年2月期連結決算で、通期で6年ぶりに赤字に転落していました。

 その額、なんと約60億円!一方、直近の既存店売上高を見てみると、2019年3月〜10月は100%を上回る数値に回復しています。

 業績の方も、前年同期比9.1倍の30.2億円に急拡大しています(2020年2月期第2四半期累計3〜8月の連結経常利益。10月8日の決算発表による)。通期計画が15億円ですので、進捗率は、なんと201.5%。いま、吉野家は絶好調なのです。

◆絶好調の理由は、結果にコミットしたあのメニューと…

 絶好調の理由はなんでしょうか。ずばり、それは2つの新メニューの投入でした。

 一つは、単価の高い牛丼の「超特盛」。牛丼並盛が360円なのに対し、超特盛はその倍以上の780円。しかし、とにかく牛肉をたくさん食べたい人は、超特盛を選ぶのです。

 一方、これと真逆のコンセプトで絶好調だった新メニューが、鶏肉や野菜を使った「ライザップ牛サラダ」。こちらは並盛500円で414カロリーととてもヘルシーです。

 吉野家は、迷走せずに、とにかくたくさん牛肉を食べたい顧客と、健康志向の顧客の両方を取り入れ、売上を拡大することに成功したのです。また、2019年前期に比べ、牛肉の仕入れ価格が低下したことも大きな利益拡大の理由です。

 さらに、日米貿易協定による牛肉価格の低下も今後期待されています。強いて懸念点をあげるとすれば、人手不足問題があげられます。アルバイトの賃金が今後も上昇する可能性があり、アルバイトをする若年層を取り込み続けられるかどうかが、同社の最終黒字を今後継続できるかどうかのポイントになります。

◆鳥貴族はあんなに混んでたのに。なぜ…?

 一方、鳥貴族はどうでしょうか。

 2018年の前半は全店売上高は前年同月比110%と推移していますが、既存店売上高は前年を下回る状態が続いています。鳥貴族は2018年に1年間で店舗数を547から665へと急拡大しました。しかし、その拡大戦略に呼応するほど新規顧客の開拓ができず、既存店の顧客を奪ってしまうという結果になりました。