香港政府は、11月に実施する区議会(地方議会)選挙を巡り、2014年の民主化デモ「雨傘運動」のリーダーだった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の立候補を認めない決定を下した。デモ参加者の間で反発が広がる可能性がある。

区議会選挙はこれまで注目度が低く、候補者は親中派が主体だった。しかし、逃亡犯条例改正案に端を発した抗議デモの影響で区議会選の意義が見直され、立候補届けや有権者登録は過去最高となっている。

黄氏は、1100人以上の立候補申請者のなかで自分だけが立候補を認められなかったとし、「政府の決定は明らかに政治的意図が働いている」と批判した。

香港政府は声明で、黄氏の名前は挙げず「『民族自決』の主張または推進」を禁じる選挙法の規定に違反したとして、1人を不適格と判断したと表明した。

黄氏の選挙区の選挙管理人は「黄氏が、中国の(香港に対する)主権を認めるかどうかや、香港にとって独立や住民投票が選択肢だという考えなのかについて疑問の余地がある」と述べた。

黄氏は、香港市民が香港の将来について発言権を持つかどうかを問う拘束力のない住民投票実施案を支持しているが、独立には反対と26日にフェイスブックに投稿した。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は29日、抗議デモの影響で、2019年通年の成長率がマイナスになるとの見通しを示した。

長官は、現在の混乱が収束し次第、香港政府は追加の景気浮揚策を打ち出すと表明した。詳細には踏み込まなかった。

31日に発表される域内総生産(GDP)速報値はリセッションの定義である2四半期連続のマイナス成長になると見込まれている。

*内容を追加しました。

[ロイター]




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