パーソルキャリアがまとめた「doda転職求人倍率レポート」によると、8月の転職求人数は前月比0.5%減、前年同月比9.6%増、転職希望者数は前月比11.5%減、前年同月比9.9%増だった。

 転職求人倍率は前月比0.31ポイント増、前年同月比0.01ポイント減の2.79倍だった。

 8月の求人数は前月比99.5%、転職希望者数は前月比88.5%と、ともに前月比で減少した。また、例年同様お盆期間中に活動する人が減り、転職希望者の減少幅が大きかったことで求人倍率は上昇した。

 前年同月比では、転職希望者数の増加幅が求人数のそれをわずかに上回ったため、求人倍率は下降した。

 業種別にみると、求人数の前月比は8業種(その他を含まない)のうち「金融」(前月比3.2%増)、「サービス」(同1.6%増)の2業種で増加した。

 「金融」では格付け会社や生命保険で採用が活発となっている。また、「金融」は前年同月比でも最も増加率が高く、前年同月比37.1%増となっている。

 「サービス」では、技術者派遣に強みを持つ人材サービス会社や、不動産仲介など建築・不動産関連の企業で特に求人数が増加した。

【業種別 求人数増加率(前月比)】
金融    3.2%増
サービス  1.6%増
メディカル 0.7%減
IT・通信  1.4%減
メーカー  2.1%減
小売・外食 3.0%減
メディア  3.2%減
商社・流通 4.7%減

その他   0.9%増

 職種別では、求人数の前月比は11職種のうち「営業系」「技術系(電気・機械)」「技術系(化学・食品)」「技術系(建築・土木)」「専門職」「クリエイティブ系」「販売・サービス系」「事務・アシスタント系」 の8職種で増加した。特に伸びたのは、「販売・サービス系」(同3.7%増)、「技術系(電気・機械)」(前月比1.3%増)。

 「販売・サービス系」では、店舗での販売スタッフの求人数が大きく伸びており、携帯キャリアの代理店がショップスタッフの採用に力を入れていることが増加の要因となった。

 「技術系(電気・機械)」では、機械設計や回路設計のエンジニアの求人数が増加。自動運転に関する開発やIoT(Internet of Things)の推進などを背景に自動車や電気製品関連の求人が増えている。

【職種別 求人数増加率(前月比)】
販売・サービス系  3.7%増
技術系(電気・機械)1.3%増
技術系(化学・食品)1.1%増
専門職       1.1%増
営業系       0.8%増
技術系(建築・土木)0.4%増
クリエイティブ系  0.2%増
事務・アシスタント系0.1%増
技術系(IT・通信) 2.6%減
技術系(メディカル)3.1%減
企画・管理系    5.4%減

 今後の転職市場についてパーソルキャリアでは、「下半期に採用予定の求人が出始める一方、上半期で採用が充足した求人が終了になることが予想され、求人数は横ばいとなる」とみている。

 「世界経済の先行きが不透明なため、製造業などを中心に採用をやや慎重に行う動きがみられるものの、全体としては自社に必要な経験を持つ人は積極的に採用を行う方針の企業がほとんど」と分析する。

 また、転職希望者については、「9月ごろから年末の退職を目標に転職活動を始める人が増えるため増加する」とみており、「求人倍率は年末にかけて下降が続く見込み」と指摘した。