ちなみに、オクラのネバネバ成分には水溶性食物繊維が含まれていて、整腸や血糖値・血中コレステロール値を抑える効果がある。
「私は『八体質医』という8つのタイプに分類された体質によって、食べてよいもの、避けるべきものを指導する韓国の食事療法をベースに食事指導を行っていますが、この八体質医学においても、オクラはお勧めできる食材の1つです。家庭でも割と簡単に栽培できるし、初夏から秋にかけては、毎日のように収穫できるのも魅力です」(市橋先生)

 2010年以降、中国や東南アジア、アフリカ、ギリシャなど、亜熱帯地域を中心にオクラの研究が進んでおり、その効能が注目されている。そういう意味でも、オクラ水は動脈硬化の“特効薬”といえる。

★朝食の前後に飲むのが理想

 オクラ水は、ヘタを包丁で切り除いた5本程度のオクラを、ふた付きのビンかグラスに下向きになるように入れ、オクラが浸かるぐらいまで水を注いで作る。ふたやラップで密閉して冷蔵庫に入れ、8〜12時間ほど置いてから、オクラを取り出して飲む。人肌程度の温度までであればお湯を足してもよいが、冷凍と加熱はNGだという。

 「食養生の先生からオクラ水を教わったとき、『冷凍と加熱は厳禁』と言われました。オクラのネバネバ成分に含まれる水溶性食物繊維は、冷凍しても加熱してもそれほど影響がないので、オクラ水には、冷凍や加熱をすると摂取できなくなる成分が含まれているのではないかと私は考えています」(市橋先生)

 飲みにくいときは、出汁や黒酢、メイプルシロップ、オリゴ糖などを加えてもよい。農薬が気になる人はオクラをよく洗うか、ヘタを切る前に30分ほど水に浸けておくとよい。毎日、朝食の前後にコップ1〜2杯飲むのが理想だ。

 ちなみに、オクラ水を飲む前に取り出したオクラの本体は料理に使うことができるので、無駄にはならない。水に浸けたあとのオクラにもネバネバ成分がたっぷり含まれているので、刻んで和え物やカレー、オムレツなどに活用したい。

 今の時期、旬の食材であるオクラは手軽に手に入るし、安価で、財布にやさしいのもうれしい。痛みや病気を予防・改善するため、この夏は積極的にオクラ水を活用してみよう。

◉オクラ水の作り方
【材料】
*オクラ/5本 *水/100〜180
【作り方】
(1)オクラのヘタを包丁で切り、取り除く。
(2)ふた付きのびんかグラスに、(1)のオクラの切った部分が下向きになるように入れ、オクラが浸かる程度まで水を注ぐ。
(3)ふた、またはラップでグラスを密閉し、冷蔵庫で8〜12時間ほど置いたのち、オクラを取り出して飲む。

ポイント
・ふた、またはラップをして密閉し、そのまま冷蔵庫へ。
・一晩寝かせたら、オクラを取り出して飲む。

◉取り出したオクラ水の簡単な食し方
【オクラカレー】
取り出したオクラを、白米を盛ったカレー皿にのせ、オクラにかけるようにカレールーを盛りつければ完成。オクラは温めず、そのままいただくのがポイント。レトルトカレーを使えばお手軽だ。

【オクラのさっぱり冷副菜】
取り出したオクラを、食べやすい大きさに包丁で切って器に入れ、その上に細切りにしたみょうが、鰹節をのせて醤油をたらせば完成。軽く混ぜるだけでネバネバが増し、酒のつまみにもなる。

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監修/一橋健一
市橋クリニック院長。日本整形外科学会専門医。医学博士。食事療法をベースにひざ軟骨再生療法など、独自の治療法で成果を挙げている。監修書に『血圧を下げる! 名医のワザ』(宝島社)があるほか、健康雑誌等にも度々登場。