DA PUMPのボーカルとしてグループを牽引するISSAさん。度重なるメンバーチェンジなどにより、しばらく活動ペースを落としていたDA PUMPは、今年6月にリリースした「U.S.A.」で再ブレイクを果たしました

日の目を見ない時期をどのように過ごし、いまの成功にたどり着いたのか。デビューしてすぐ売れに売れたISSAさんにとって、近ごろの活動でプライドが許さないことはなかったのか。

不遇のときにも焦らず、くさらないための方法を聞きました

〈聞き手:ライター・菅原さくら〉


ISSA】1996年にHIPHOPグループ・DA PUMPを結成し、翌年にシングル「Feelin’ Good 〜It’s PARADISE〜」でデビュー。翌年、『NHK紅白歌合戦』に初出場し、以降2002年まで5年連続の出場を果たした。2018年6月、約3年半ぶりにリリースしたシングル「U.S.A.」が大ヒット

「苦しかった時期」をどう乗り越えたんですか?

ライター・菅原さくら:
今日は、DA PUMPが再ブレイクに至るまで、苦しかった時期をどう乗り越えたかについて聞きに来たんですけど…

ISSAさん:
とくにないですね

さくら:
えっ!?

ISSAさん:
再ブレイクって言われてるのはありがたいけど、苦しかった時期とかとくにないです

さくら:
でも、初期メンバーが全員脱退したり、グループの体制がちょこちょこ変わったりして、苦労されたんじゃないですか?



ISSAさん:
自分はこの世界で生きていくって決めてたんで、グループの体制が変わろうと、やるしかない。

自分にはしょせんこれしかできないから、どんなときでも“いい方向に考える”しかないんです。

さくら:
“いい方向に考える”って?

ISSAさん:
どんなときでも、どんな場所でも、ポジティブに楽しみ方を考えるんです。

たとえば、練習だって「努力」とか思ってないんですよ。いいパフォーマンスがしたいっていう目的はあるけど、基本は好きなことをやってるだけだから、努力なんて思わない

さくら:
歌唱力とか、キレのあるダンスとか、相当な努力でつくられてると思ってました…

ISSAさん:
練習はしてるけど、努力ではない。好きなことを楽しんでるだけです。

ダンスは足をケガしたりとかなんだかんだトラブルもあったけど…「病は気から」とはよく言ったもので。やろうと思えば、空飛ぶ以外はできるんですよ


今年はミュージカル「ピーターパン」でフック船長も熱演。空を飛べるピーターパンに負けた

ISSAさん:
よく取材で「あのときは大変でしたね」って言われるけど、べつにそんなことないと思ってて。

そもそも「大変」って、そんなにきついことじゃなくないですか?

さくら:
というと?

ISSAさん:
大変なことが起こったのは事実だとしても、気持ちを切り替えればいいだけだから

楽しむ方向にさえ考えられれば、いくらでもあとから立て直せると思ってるんです。

“不遇”の時期は、さすがにしんどくなかったんですか?

さくら:
とはいえ、2007年以降はリリースが減り、活動ペースが落ちています。その時期はさすがに、気持ちがしんどくなかったですか?

ISSAさん:
いや、しんどくないです。いまは「待ての時期」なんだ、と思ってました。



さくら:
「待ての時期」…。その間にどんなことをしていたんですか?

ISSAさん:
持久力を上げたいけど、足が悪くて走れないから、ウォーキングしたり。ちょっと違うジャンルのダンスをやってみようと思って、たとえばバレエをかじってみたり。


ISSAさんは2008年、リハーサル中のケガにより右足を骨折。ダンスのときは一切それを感じさせないが、現在も歩行に少し支障がある

さくら:
ISSAさんがバレエ!

くさらずに、パフォーマンスのためのトライを続ける姿勢がすごいです。

ISSAさん:
楽観的な意味じゃなく、なるようにしかならないと思ってるんで。

だったらやるべきことをやっとくしかないでしょ、というか。

さくら:
後ろ向きになったこととかないんですか?

ISSAさん:
後ろ向きってわけではないけど、いっとき、DA PUMPの看板を下ろすことは考えましたよ

メンバーが変わった時点で全然違うチームだし、名前も変えたほうがいいと思って。

さくら:
確かに。

ISSAさん:
でも、社長に「お前がいる限り、DA PUMPでいいんじゃないか」って言われたから、変えなかったんです。

「あ、この名前を残していいんだ」ってうれしかったし。

さくら:
やっぱり「DA PUMP」には愛着があるんですね。

ISSAさん:
そうです。DA PUMPは苗字みたいなものなんで、たとえ一人になっても言いつづけると思います


「邊土名一茶」であり「DA PUMP 一茶」でもある

「ショッピングモールでの無料ライブ」は、プライドが傷ついたんじゃ?

さくら:
「待ての時期」に続いて、2014年には無料のショッピングモールライブを開催しています。大きな会場を満員にしてきたISSAさんは、プライド的に厳しかったのでは…

ISSAさん:
そんなこと全然関係ないですよ。会場なんて気にするだけ野暮

無料ライブだって、僕らメンバー側から発案したんです

やれる場所があって、1人でも観に来てくれる人がいるなら、環境や規模なんて問わないですよ。

さくら:
そうだったんですか…! 「やっぱり東京ドームは大きくてアガる!」とかもないんですか?

ISSAさん:
まったくないです。逆にサガるんじゃないかな、お客さんが遠いから

パフォーマンスが伝わりにくくてかわいそうですよ。


「U.S.A.」は「ハロプロっぽい」ということで話題になり、ハロプロファンが“コール”。「それも全然問題ないです」とのこと

新メンバー加入。コミュニケーションが大変だったんじゃ?

さくら:
メンバーたちをどうまとめたのか…というところも聞きたいです。新しいメンバーと、どうやって信頼関係をつくっていったんですか?

ISSAさん:
やっぱり徐々に、ですよね。個性的なメンバーですけど、みんな「歌って踊る」というひとつの方向を向いているので。

さくら:
でも私が新メンバーだったら、ISSAさんにちょっとビビっちゃうと思います。パフォーマーとしての経験値が全然違うし、ちょっと強面で口数も少ないし…



ISSAさん:
最初はビビってるメンバーもいたかもしれないですね(笑)。でもいまは「ISSAくん」とか「兄貴」とか呼ばれてますよ。

さくら:
なにか、コミュニケーションを深める具体策はとったんですか?

ISSAさん:
週1回、かならずみんなで集まって話す」ってルールを決めました。そのときは、もっとコミュニケーションをとったほうがいいっていう危機意識がみんなにあったんだと思う。

ショッピングモールで無料ライブをするアイディアも、その話し合いの場で出てきたんです

そうやって自分たちが考えたことを形にして、少しずつ思うように活動できるようになってから、グループとしても“イケる感”が出てきたんじゃないかな。メンバーがやりたいと思うことは、今後も大事にしていきたいですね。

さくら:
ISSAさん自身がやりたいことはないんですか?

ISSAさん:
いまのメンバーと『紅白』には出たいですね。自分が以前見た景色を、みんなにも見てもらいたい

メンバーたちにもご両親や親戚がいる…ってことを考えると、やっぱり『紅白』は大きいなと思います。

さくら:
(いい兄貴…!)

「結果出しゃいいんだろ!って、“なにくそ根性”でここまでやってきた」



さくら:
デビュー当時は、ISSAさんが率先してグループを引っ張っているイメージが強かったです。

ISSAさん:
まあ…たしかにそういう印象はあるかもしれないですね。

そのころに比べれば、いまはだいぶ人の話をよく聞くようになりましたよ

さくら:
前は聞いてなかったんですか?

ISSAさん:
まぁ、そうっすね。イヤな奴だったと思います

なんかこう、周りにイヤな大人もいて…

さくら:
たとえば、イヤな大人のどんな話をスルーしてたんでしょうか。

ISSAさん:
男性グループは難しいよ」みたいな感じの話ですかね。頭ごなしにそういうことを言われるとムカつくじゃないですか。

いやいやいや、やってやるよ。結果出しゃいいんだろ」ってなってしまって。

自分はそういう“なにくそ根性”でここまでやってきたと思ってます。

「自分たちがやるのは“歌って踊ること”だけ」

さくら:
これからDA PUMPをどうしていきたい、と思ってますか?

ISSAさん:
せっかく「U.S.A.」ですばらしいチャンスをいただいたので、また何年後かにポッと出てくるような感じじゃなくて、もう途切れないようにしたいですね。欲を言えば。

さくら:
途切れさせないための秘策はあるんですか?

ISSAさん:
いままで通りやるしかないですね。どこにもいないような人とかグループになりたいんですよ。それはまだ途中だし、これからもやり続けるしか、俺らには方法がないって思います。

見るか見ないかはお客さんが決めることだから、自分たちからは何も言えないけど、見てくれたら損はさせませんよ、と。

さくら:
真っ向勝負ですね。

ISSAさん:
たまたま目立ってない時期も長かったけど、俺ら自体はべつに何ひとつ変わってないんです。

メンバーが違おうが、名前が変わろうが、俺らがやることは「歌って踊ること」だけしかないんで



苦労した時期はない」「努力もしてない」と、こちらの質問を一刀両断したISSAさん。でもそれは、自分のやるべきことが見えていて、状況を達観しながら、淡々と進んでいる人だからなんだなと思いました。

うまくいかない時期にふてくされず、頑張るのって、難しい。

だけどISSAさんを見ていると、信じたことを続けていれば結果は裏切らないのかも、と勇気が出ます。

取材のあと、5万回は言われてるだろうと思いながら「うちの2歳の子どもが『U.S.A.』めっちゃ踊ってるんです!」と伝えたら、「まじっすか、ありがとうございます!」と、笑顔。

「よくそういう話聞くんで、赤ちゃんが好きな周波数の音が入ってるのかもしれないっすね(笑)」なんて、優しいコメントまで添えてくれました。

ISSAさん、ありがとうございました!

〈取材・文=菅原さくら(@sakura011626)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=池田博美(@hiromi_ike)〉



|DA PUMP OFFICIAL WEBSITE
http://dapump.jp/
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