埼玉・蓮田の駅メロは「にゃんたぶぅ」 えっ、何者?→実はスター集団だった
発車メロディ。列車の発車を知らせる音であり、多くの駅では汎用メロディが使われている。しかし、スポーツチームの本拠地の最寄り駅や大物ミュージシャンの出身地やゆかりの地などでは、それに因んだメロディが流される。
JR東海道線茅ヶ崎駅ではサザンオールスターズ「希望の轍」、JR高崎線行田駅ではスターダストレビュー「夢伝説」といった知名度のある楽曲とミュージシャンが選ばれている。こうした流れを受けてか、JR宇都宮線の蓮田駅でも2018年10月5日から独自の発車メロディを使い始めた。
しかし、その曲は「にゃんたぶぅ」が歌う「雅楽谷の森〜蓮田のタカラ〜」。大変申し訳ないのだが、蓮田市の北に隣接する埼玉県白岡市に住む筆者ですら、ミュージシャン名も楽曲名も聞いたことがない。
1度は「全国的な知名度がない」と却下されるも...
そもそも「にゃんたぶぅ」がグループ名なのか個人の芸名なのかもわからない。
蓮田市のホームページによると12年から「はすだ広報大使」に任命されたファミリーエコユニットなのだという。
メンバーは、たくまん(和田琢磨さん)、のんたん(並木のり子さん)、もりちぃ(森田桂介さん)の3人。それぞれ芸能活動では実績があり、たくまんは日本テレビで放送されていた人気番組「THE夜もヒッパレ!」のレギュラー出演者。のんたんは、声優として「ハンター×ハンター」のマチ役や「るろうに剣心」すずめ役を演じた。もりちぃは舞台を中心に役者として活動をしており、蜷川幸雄さん(故人)が芸術監督を務めた「彩の国さいたま芸術劇場」で上演された舞台「永遠の一秒」では主役と座長を務めた。
左からもりちぃ(森田桂介さん)、のんたん(並木のり子さん)、たくまん(和田琢磨さん)
たくまんが蓮田市出身のため「はすだ広報大使」を務めているほか、それぞれの出身地の広報大使などを務めており、地域密着型のユニットともいえる。特に埼玉県との繋がりが強く埼玉県知事公認の「勝手に埼玉応援隊」を名乗り、「埼玉地酒音頭」、「JAPAN SAITAMA NYANTABOO」といった応援隊ならでの作品をリリースした。
「JAPAN SAITAMA NYANTABO」のジャケット写真
しかし、埼玉出身の筆者でも今回初めて知ったグループだ。街の玄関口となる駅の発車メロディに使われた理由が今ひとつ見えてこない。
Jタウンネット編成部は2018年10月18日、蓮田市の広報広聴課シティセールス担当に対して発車メロディの起用について取材を行った。
元々にゃんたぶぅの楽曲を発車メロディにしようとの計画は15年からあった。しかし、蓮田駅を管轄するJR東日本大宮支社からサザンオールスターズのように
「全国的な知名度がない」
との理由で却下。これを機にしばらく計画自体が足踏み状態になった。
しかし、17年にJR武蔵野線北朝霞駅の発車メロディが市民まつり「彩夏祭」のオリジナル楽曲が採用されたことから計画が再始動。再びJR東日本大宮支社に駆け寄ったところ
「地域活性化を目的とした楽曲かつ期間限定」
との条件が出された。
そこで18年11月3日に開催される「雅楽谷の森フェスティバル」のテーマソング「雅楽谷の森〜蓮田のタカラ〜」が選ばれた。歌唱をにゃんたぶぅが担当、作詞作曲は地元出身のたくまん、さらに雅楽谷の森フェスティバルが今年で10周年を迎えるのも理由だ。
JR東日本からもダメだしされてしまった知名度の低さだが、かえって効果があったようで、
「知らないからこそ祭りや楽曲について調べてくれる人が増えた」
と、「逆を突いて」の反響を得たという。
来年以降についても同じ「雅楽谷の森〜蓮田のタカラ〜」を起用した期間限定発車メロディの起用を検討している。