懐かしい味わいのなかに、お店にこだわりが潜む

美しくこんがりと焼き上げられた表面に、バターとメープルシロップをたっぷりかけて頬張るホットケーキ。

その懐かしいビジュアルに、どうしても食べたくなることがないだろうか?

そんな時に訪れたい絶品ホットケーキを提供する名店を一挙にご紹介しよう!




「ホットケーキ(プレーン)」(650円)※1人前2枚 シロップ付き
老舗の味を継承!あの味にまた会える!
『ホットケーキパーラーFru-Full(フルフル)』

赤坂にあるホットケーキパーラー『ホットケーキパーラーFru-Full(フルフル)』は、2012年3月に惜しまれつつ閉店した老舗『万惣フルーツパーラー』の味を継承するお店である。

同店がオープンしたのは、2013年4月。幅広い世代に親しまれてきた『万惣フルーツパーラー』の味を、守り続けたいという想いから誕生したお店だ。



ホットケーキが焼き上がるまでには10〜15分ほどかかる。1枚200円で追加も可能だ

同店を訪れたら、ぜひ「ホットケーキ」を食べてみて欲しい。どこか懐かしくホッとする優しい味わいが楽しめるだろう。

銅板で焼き上げるホットケーキは、その焼き目の美しさも特徴だ。上質な小麦、通常よりも多めに使用する卵など、生地の配合は万惣時代のものをそのまま継承している。また、自家製のシロップも独特な味わいで、ホットケーキの味をしっかりと引き立ててくれる。



平日でも客足が絶えることなく満席になることも多いという

同店のもうひとつの名物「フルーツサンド」も必食。動物性と植物性の生クリームをブレンドした、甘さひかえめのクリームに、ハワイ産パパイヤ、キウイ、イチゴ(紅ほっぺ※時季により異なる)、エクアドル産バナナが整然と並ぶ様子は、一度見たら忘れられない美しさだ。

今日はちょっと懐かしい甘さにおぼれたい!そんな日にこそ訪れて欲しい名店である。




ホットケーキとの相性も抜群の「みじんこオリジナルブレンド」(500円)は、3種類から好みの味を選べる
銅板で丁寧に焼き上げたパーフェクトな美しさ!
『自家焙煎珈琲みじんこ』

スペシャルティ珈琲を自家焙煎で提供する『自家焙煎珈琲みじんこ』。珈琲に合う食事にこだわり、シンプルでありながらビジュアルでインパクトを持たせたいと、考案したメニューが揃う。

なかでも14時入店から注文可能となる「ホットケーキ」が人気で、SNSでも話題を集めている。

まず目を惹くのは、その美しい焼き目。銅板で丁寧に焼き上げることで生み出される均一な焼き色は、完璧な美しさで食べるのがもったいないほど。



カナダ産のピュアなメープルシロップを使用
バターの香りとふんわり食感が堪らない

まずはそのままひと口頬張ると、バターの香りが一気に口に広がる。これは焼く前の生地にもバターを混ぜ込んでいること、そして焼き上がった直後に溶かしバターを表面に塗っていることで生み出されている。熱々の状態で、バターを塗ることで生地にしっかりとバターの風味が立ち、一層美味しくいただけるという。メープルシロップはお好みで。

また、ふわふわとした食感も特徴だ。生地にヨーグルトを混ぜることと、空気を含ませながら丁寧に生地を混ぜていくことがポイント。



ホットケーキは、厚さ約3cm、直径10cmで2枚でもペロリと食べきれる
一番美味しい状態で提供するための工夫

「ホットケーキ」はオーダーが入ってから生地を混ぜ合わせ焼き上げるため、注文から提供まで20分ほどを要する。これはなるべく一番美味しい状態のホットケーキを味わって欲しいという『自家焙煎珈琲みじんこ』のこだわりでもある。

クセがなく誰でも飲みやすい味をイメージしてブレンドされた「みじんこオリジナルブレンド」を楽しみながらホットケーキの完成を待とう。




ボリューム満点の「ホットケーキ」※ホットケーキ1枚飲み物付(1,512円 税込)、ホットケーキ2枚飲み物付(2,268円 税込)
ボリュームに驚嘆!均一な美しい焼き目も目を引く
『ウエスト 青山ガーデン』

こちらは老舗カフェだが、このホットケーキの誕生は最近のこと。「郷愁を感じるようなホットケーキが食べたい」というお客様の声から、2008年に提供がスタートした。

テーブルに運ばれてきた瞬間に目に飛び込むのは、そのボリューム感。直径18cm、厚さ約2cmという大きさ。そしてなんと言っても均一な焼き目が美しい。

この秀麗な焼き色は、ガスではなくじっくり火入れできるIHヒーターを使用し生み出される。2枚注文が入っても同時に焼き上げるために6機も使用するという。



ふわふわの生地にバターとメープルをたっぷりかけて召し上がれ
蒸し焼き行程でふわふわ食感を生む

バターとメープルシロップをかけて、いざナイフ入刀! ナイフを入れると、表面はサクッとしていながら、中へ入ればふんわり。その心地よさにどんどんと食べ進められてしまう。

そのふんわりとした食感を生むのは、焼きの工程のなかでフライパンに蓋をして、蒸し焼きにしているからだという。フワッとした食感のなかに、しっとりとした口当たりも残るのは、この工程のおかげだ。



卵の多さを物語る黄色い断面も美しい
味も絶品!こだわりが生むおいしさの理由

食感も印象的だがクリーミーな後味も負けてはいない。水は一切使用せず、牛乳と生クリームのみという贅沢さがこの味を生み出している。

また、卵も1枚あたり1個ぶんたっぷり使用。ダマがなくなるまでしっかり混ぜるのも大切だと語る。

ボリュームに圧倒されるものの、どんどん食べ進められるのは老舗洋菓子ならではの丁寧な仕事のたまものだと言える。


表面カリカリ系もいいけど、ふわふわ系も美味しいよね



「特製厚焼きパンケーキ」(ダブル1,600円)
迫力満点の極厚パンケーキ!
『uzna omom b one(ウズナ オムオム ビー ワン)』

もはや芸術品とも呼べるほど美しく迫力あるフォルムのパンケーキを提供する人気店が表参道にある。『uzna omom b one(ウズナ オムオム ビー ワン)』だ。

厚さ約5cmのパンケーキはその見た目だけでなく、味も抜群。「厚いと食べ飽きちゃうのでは……?」と不安がよぎるかも知れないが、心配は無用だ。最後までペロリと完食できてしまう。その不思議なおいしさと、こだわりの製法をオーナー・門崎杏子氏に伺った。



まずはそのまま生地のみを味わい、好みでメープルシロップをかけよう
目指したのは「絵本のようなパンケーキ」

この「特製厚焼きパンケーキ」の開発期間はなんと8カ月にも及んだそう。「絵本に出てくるようなパンケーキを作りたいと思っていました。」とオーナーは当時を振り返る。

どのようにこの厚さ、そして飽きのこない味をうみだしているのかが気になるところ。材料は卵、砂糖、北海道産小麦粉、牛乳、バター、生クリーム、メープルシロップというシンプルなものであるが、その製法にはかなりのこだわりが秘められていた。

一番のポイントは、厚みを出すために1枚に対して卵2個分の全卵を泡立てたメレンゲを使っているところだ。卵白のみではなく全卵で泡立てることにより卵の風味が活きるのだという。



美しい断面の色が卵の含有率の多さを物語る
焼き上がりを待つ価値は絶対あり!

注文してから20分ほど時間を要するのにも訳がある。それは注文が入ってから、生地を作り、焼きあげているからだ。卵を泡立てる工程を要するため、生地の作り置きができないのである。

実際に食べてみると、卵の風味もさることながら北海道産小麦の上質な香りも楽しむことができる。生クリームのみをひたすらカクハンし、味付けとして塩を入れるというカラダにも優しい自家製バターも、パンケーキの味を引き立ててくれている。




「mimetのホットケーキ」(700円)。注文が入ってから焼き上げるため、提供まで時間がかかる。時間に余裕をもって出かけよう
南部鉄器の特性を活かして作る
美しい焼き目のホットケーキが絶品『mimet(ミメ)』

代々木公園駅の裏路地に佇むカフェビストロ『mimet(ミメ)』の名物である「mimetのホットケーキ」。

まず見た目の特徴である美しい見た目と、厚さを作り出しているのが、岩手県の伝統工芸品・南部鉄器製のフライパン。熱伝導率の良い南部鉄器は、その蓄えた熱を長時間持続させられる上、全体にまんべんなく熱を伝え、温度差ができにくい特性をもっている。

そのため、南部鉄器で焼き上げるホットケーキは、焼きムラができることなく、極厚の生地にも均等に火が通っていくのだ。



無塩バターと、岩手県盛岡産の「藤原純粋蜂蜜 あかしあの花」というはちみつをかけて召し上がれ

ホットケーキは、生地にもこだわりがある。岩手・青森県産キタカミ小麦を使用しており、天然の豊かな風味が楽しめる。そんな小麦粉であるからこそ、風味を損なわずに提供するため、注文が入ってから生地が作られる。

ベーキングパウダーと合わせた小麦粉に牛乳、卵、グラニュー糖を加え、混ぜ合わせる。それを南部鉄器のフライパンに流し込み、3分ほど火にかけて焼き色を付ける。その後、オーブンで片面6分、もう片面を5分焼き上げて完成。

運ばれてきた瞬間に美味しいと確信できるほど、美しく焼き上げられている。



とろけるバターにはちみつたっぷり!信じられないほど分厚いホットケーキは見ているだけで幸せになれる!

食べ方は、無塩バターとはちみつというスタイル。店主・滝沢さんは「甘すぎず、あっさりとしたホットケーキなので、そのまま食べながらサラダなどと合わせるのもおすすめですよ。」と語る。

お客様からの要望には極力応えることをモットーとしている『mimet』。例えば「ホットケーキに合うサラダをお願いします」とスタッフに声をかけると、「このような形でいかがでしょう?」と提案してくれるという。「甘いものは少しでいいな」という人も、ぜひスタッフに相談しながら、極上ホットケーキの自己流の楽しみ方を見つけて欲しい。


浅草の名店といえばココ!



熱伝導率の高い銅板で生み出される美しい焼き目は、絶妙なタイミングで焼き上げるからこそ生まれる
これぞ正統派のホットケーキ!ふわふわ軽〜い浅草の逸品
『珈琲 天国』

伝法院通りからつくばエキスプレスの浅草駅へと通じる浅草六区通り。その一角に佇むのが『珈琲 天国』である。言わずと知れたホットケーキの名店だ。

週末には行列ができることもあり、なかには海外から通ってくる人もいるそうだ。そこまで人を惹きつけ、虜にしてしまうホットケーキとはどのように作られているのか?

まずは、作り方の工程からその美味しさの訳を探っていこう。



最後に「天国」の焼き印を押してお皿にもって完成。この焼き印が『珈琲 天国』のトレードマークである

生地は作り置きせず、注文が入ってから材料を混ぜ合わせる。

2種類をブレンドしたオリジナル配合の小麦粉、卵と牛乳、発酵バターを入れ、さっくりと混ぜるのがポイント。混ぜすぎは厳禁だ。

生地を作り上げたらすぐに銅板へ。この数十秒が勝負だという。生地が出来た瞬間に焼き始めないと、生地が死んでしまうのだと店主は語る。

そして銅板で4分ほど1枚ずつ丁寧に焼き上げていく。全てはタイミングが命なのだという。

そうすることで、ふわふわさっくりとした軽い食感のホットケーキが生まれるのだ。



軽いながらもしっかりとコクを出すため発酵バターを使用。ほのかにチーズのような香りが、ふんわりとした食感とともに口の中を駆け抜けていく

粉はもちろん、メープルシロップも軽いものを使用するという徹底ぶり。約10cmの手のひらサイズで2枚。

食べ終わった後にも、重たさは一切なく、小腹を満たしたという満足感だけが残る。完食はあっという間だ。飲み物付きの「ホットケーキセット」で1,000円という価格もいい。




「石窯焼きホットケーキ」(734円)と珈琲「トアルコ トラジャ」(648円)。ホットケーキにはエスプーマクリームが添えられてる
石窯焼きの極厚ホットケーキが絶品!
『石釜 bake brread 茶房 TAM TAM』

神保町駅の近くにある『石釜 bake brread 茶房 TAM TAM』は、昭和47年に創業した老舗喫茶店だった。2014年9月にビルの老朽化による改築工事をきっかけに現在のスタイルへとリニューアル。

それと同時に提供を開始したのが今回紹介するホットケーキだ。その美味しさと迫力のビジュアルが話題となり、現在では行列のできる人気店となっている。



卵をたっぷりと使用しており、何も付けずに食べても美味しい!
外はカリッと中はふわふわの食感が楽しい

オーダーしてから20分程かけて焼き上がる「石窯焼きホットケーキ」は、直径約15cm、厚さは3.5〜4cmほどというボリューム感のあるビジュアルで登場。

ナイフを入れると、外側のカリッとした感触の後に、内側のふわふわ感が伝わり、食べる前から美味しいと確信させてくれる。もちろん口に運ぶと笑みが自然とこぼれるほど絶品だ。



カリッと香ばしく焼き上がった表面と、なかのふわふわ感のギャップがたまらない!

食べ進めて行くと、その見た目とは裏腹に意外なほどあっさり食べられてしまうことに驚くだろう。ご主人の田村さんは、最近のボリュームたっぷりのホットケーキやパンケーキにありがちな、食べ進めるうちに飽きがくることを防ぐために、軽く食べられることを意識して開発を進めていったという。

リニューアル時に出会ったという石窯オーブン。オープン間際まで、この石窯オーブンで焼き上げるホットケーキの開発をしていたという田村さん。この他では味わえない外はカリッと、中はふんわりという独特の食感を生み出すのに、石窯オーブンは欠かせない存在なのだ!