大相撲は空前のブームを迎えている。チケットは発売初日に90分で完売。関連グッズも飛ぶように売れている。

もうひとつ、人気のバロメーターとなっているのが懸賞金の数だ。場所前に発表された総本数は、史上最多の約2,200本。しかも、稀勢の里(30)の「個人指定懸賞」は15日間で、これまた史上最多の608本だった。

懸賞は1本あたり6万2,000円で、力士の手取りは3万円。ひとつの取組の上限が61本と決まっているので、勝てば最高183万円の大金が入ってくる計算になる。

手負いの横綱相手なら、勝って多額の懸賞金が得られる可能性が高い。ならば、怪我した左上半身も遠慮なしに攻めていく。初日、嘉風(35)戦に懸けられた賞金は54本。結果、激しい相撲で横綱を破り、162万円をゲットした。

稀勢の里の強行出場の決断には、懸賞の多さも大きく影響していた。

「もし休場した場合、懸賞はほかの力士に懸け替えられることもあるが、『うちは稀勢の里を個人的に応援しているので、今場所は取りやめます』ということが起こりうる。懸賞1本につき5300円の手数料が協会に入ることになっている。もし休場となれば100万、200万という手数料収入がなくなるし、出たからには15日間取りきってほしいというのが協会の願い。そのこともあって、稀勢の里は簡単には休場の決断に踏み切れなかった」(担当記者)

元大関・琴光喜(41)は、稀勢の里の相撲内容を心配していた。

「2場所前とは別人。利き腕の左が痛くて使えず、かばっていてはバランスも悪くなる。大袈裟にいえば、戦闘力は半分ぐらいでしょう」

休場を決めた稀勢の里。大金稼ぎに血眼になっている周囲の重圧に押し出されたのか。

(週刊FLASH 2017年6月6日号)