大器の片鱗見せるソフトBドラ2左腕 今度は“謎のボール”、その真相は…
大器の片鱗見せるソフトバンク・ドラフト2位ルーキー古谷
最速151キロをマークしたデビュー戦から2週間。ソフトバンクのドラフト2位ルーキー・古谷優人投手が、またしても大器の片鱗を見せた。16日に行われたソフトバンク3軍と四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスとの交流試合(タマスタ筑後)。初の先発マウンドに立つと、4回を無失点に封じた。
「今日の出来は普通でした。3回までは良かったですけど、4回に少し疲れと気持ちの切れが出てしまったかな」
初回は二ゴロ、空振り三振、左飛と簡単に三者凡退。最速は148キロをマークした。2回、3回と内野安打で走者を背負ったが、セットポジションになっても安定した投球で無失点に抑えた。
3回の攻撃で、バッテリーを組んだドラフト3位ルーキーの九鬼隆平捕手が、走塁時に相手の送球を顔に当て、一時ベンチに退くアクシデントがあって迎えた4回のマウンド。「九鬼の頭にボールが当たって、流れが変わりそうだなと思って、意識が強くなり過ぎた。もう少し気持ちに余裕を持って入れたら良かった」。
驚異の器用さ、この日投じた“謎のボール”とは…
先頭に四球を与え、4番のザック、5番のアンダーソンの連打で無死満塁のピンチを招いた。ただ、ここから崩れないところが、18歳の左腕の強み。慌てることなく、後続を空振り三振、一邪飛、二ゴロに打ち取り、点を許さなかった。
4回4安打無失点、4奪三振で、この日の最速は148キロ。「ここは(スピードガンのスピードが)出にくい。そこで148キロはいいんじゃないかと思います」と振り返った。
この日驚かされたのが、その器用さ、だ。ストレートは常時145キロ台後半をマークしていたのだが、時折、計時される140キロ前後の“謎のボール”。試合後、左腕は「今日はツーシームが良かったです」と、事もなげに、その存在を明かした。
ストレートと切れ味鋭いスライダーが配球の中心の古谷。現在、カーブとチェンジアップを習得中で、ツーシームは持ち球になかった。
和田の教えで投げ始めたのは「4日前くらい」
「真っすぐの回転数が少ないので、1週間くらい前に(筑後で練習していた)和田さんに相談したんです。そうしたら、それを生かしてツーシームでシンカー気味に落とすボールを投げたら有効なんじゃないか、とアドバイスをもらったんです」
ツーシームを武器とする大先輩の和田毅に、握りや投げ方などを教わり、実際に投げ始めたのは「4日前くらいです」という。それで、いきなり実戦で使えてしまうのだから、恐れ入る。
4月2日の同じ高知戦(高知)でプロとして初めて実戦登板し、2回を1安打無失点。この日も無失点に封じ、2戦連続で好投した古谷。結果、内容の伴う投球に、早い段階での2軍戦登板も期待してしまうが、本人は「今日の4回は2軍ならば、失点していると思います。まだ2軍で通用する選手じゃない。まだまだ課題が多いので、下積みが必要だと思います」と冷静だ。
将来性豊かな最速154キロ左腕。大きく成長を遂げる日を、楽しみに待ちたいものだ。
福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani