約1年ぶりに招集された森島は、FC東京とのTMで先制点をもたらすなど存在感を放った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[トレーニングマッチ/U-20日本代表 2-0 FC東京/小平G]

「45分間しかやっていないんですけど、得点に絡めたので良かったです」

 試合後、第一声でそう語った森島司(広島)の表情は、実に晴れやかだった。

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 昨年3月以来、約1年ぶりに招集された俊英は、この日行なわれたU-20代表のトレーニングマッチ(対FC東京)の1本目(45分×2本)に出場。4-4-2のサイドハーフに入ると、常にスペースへ動きながら味方からパスを引き出し、軽やかなタッチでパスを捌いてアクセントを付けた。

「動きながらタイミングよく(スペースに)入るところと、走るところ」を意識し、時に前線にも積極的に顔を出す。すると15分、岩崎悠人(京都)との連係でゴール前を突破しフリーで抜け出すと、ペナルティエリア内で相手GKに倒されPKを獲得する。

「意識して裏へ抜ける動きはやっていて、タイミングよく(岩崎)悠人から良いボールが来た。タッチが少し流れましたけど、上手くPKが取れて良かったです」

 自ら獲得したPKのキッカーを務めると、シュートは一度GKに防がれたが、跳ね返りを押し込んで先制点をもたらした。

「自分の良さはギャップで受けて前を向いてゴールに直結するパスだったり、大きい展開でチームにリズムを作るところ。それができたところがあった反面、簡単にボールを失ってしまったところもあったので、もっと失わずにやりたいです」

 課題は本人も自覚するところだが、45分間という限られた時間のなかでも、しっかり持ち味を発揮するあたりにポテンシャルの高さを感じずにはいられない。動きと技術の質で違いを見せたそのパフォーマンスは評価に値するものであり、5月のU-20ワールドカップ行きへのアピールにつながったはずだ。だからこそ、指揮官もこう褒め称える。

「(PKを奪った場面の動きは)あそこに走り込んだ意識が素晴らしい。動きながらプレーして、ボールを動かしてくれた」(内山篤監督)
 森島の17年シーズンは、クラブでも、代表でもいたって順調だ。クラブシーンでは、Jリーグデビューとなった新潟との開幕戦で先発出場し、「5人抜き」からシュートをポストに当てたプレーで特大のインパクトを与え、続く清水戦でも、アイデア豊かなパスセンスで攻撃の潤滑油として存在感を放った。表情に初々しさが残る19歳は今、Jの舞台に立ち確かな手応えを感じている。そして、その勢いをそのまま代表へとつなげていくつもりだ。

「広島ではボールを簡単に失わない部分、ドリブルは自信になっている。ギャップで受けてドリブルで魅せるところはもっとやっていきたいし、Jでできたらアンダー世代でもできると思う。コンスタントに出場機会を得て、今後に生かしていきたいです」

 左膝に全治5か月の大怪我を負った昨年8月以降、悔しさを噛みしめながらリハビリを続けてきた努力は、今ようやく実を結ぼうとしている。大怪我を乗り越えカムバックした刺客は、果たしてどこまで進化を遂げるだろうか。世界の檜舞台に立つためのアピールは続く。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)