おうし座にある超新星残骸の「かに星雲」。古くから地上より観察されてきた美しい天体ですが、今回ハッブル宇宙望遠鏡がその内部構造と中心に存在する「かにパルサー」の様子を撮影することに成功しました。
 
かに星雲は地球から6500光年先にある天体で、超新星爆発のあとに残る構造「超新星残骸」として有名です。これまでその外部構造は何度も観測されてきたのですが、今回は10年にわたって撮影された3つの高解像度画像を組み合わせることにより、これまで見たこともない同星雲の内部構造を解き明かしました。
 
かに星雲の内部には「かにパルサー」と呼ばれる中性子星があります。この数十キロメートルしかない天体は太陽と同等の質量を持ち、1秒間に30回という猛烈な勢いで回転して周囲にさまざまな波長の電磁波を撒き散らしているのです。
 
さらに、今回の画像ではイオン化したガスを赤色で描き出しています。これはかに星雲の外周で空洞やフィラメントのような構造を作り出します。さらに、かに星雲中心のイオン化したガスは中心からの電子の照射に照らしだされて青く輝いているのです。
 
1,000年近く前に地上に届いた超新星爆発の光により、世界中で観測されてきたかに星雲。現在は明るさも落ち着き観測には望遠鏡が必要ですが、その美しくも複雑な構造はこの目で一度見てみたいものです。
 
Image Credit: NASA, ESA
■POWERFUL PROCESSES AT WORK - THE CRAB NEBULA AS NEVER SEEN BEFORE [HEIC1614]
http://sci.esa.int/hubble/58048-powerful-processes-at-work-the-crab-nebula-as-never-seen-before-heic1614/?utm_source=rss&utm_medium=rss