中国では日本とドイツはしばしば比較の対象となる。両国ともに経済が発展した国として、中国にとっては気になる存在であると同時に、経済や産業において目指すべき目標の1つとして認識されているようだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国では日本とドイツはしばしば比較の対象となる。両国ともに経済が発展した国として、中国にとっては気になる存在であると同時に、経済や産業において目指すべき目標の1つとして認識されているようだ。

 また、中国でも日本製品は高品質として認識されているが、ドイツ製品は日本製品と同等もしくはそれ以上の品質を誇ると認識する消費者も少なくない。ドイツ製品は日本においても高品質という認識が一般的だろう。特に自動車においては、ドイツ車は世界の高級車市場で圧倒的なシェアを有している。

 中国メディアの工控網はこのほど、「なぜドイツ製は日本製よりもすごいのか」と題して、ドイツ経済と日本経済を比較している。記事はまず、第2次世界大戦後における世界経済の重要な出来事は敗戦国であったはずのドイツと日本が急激に経済発展を遂げたことだと指摘。1990年代中期からドイツは国際競争力を高め続けてきたが、日本経済は「失われた10年」を迎え、いまだに経済の低迷から完全には脱していないと論じた。

 では、なぜドイツ経済は成功できたのだろうか。記事は「ドイツの経済政策が正しかった」とし、1990年代に日本など多くの工業国が製造業の拠点を人件費の安い国へ移し、経済成長の重心を金融業などのサービス業に置いたことで国内産業の空洞化を招いたと指摘する一方、ドイツは国内の技術保護など保守的な政策をとり、その結果ドイツの製品は一流品質の代名詞になったと説明した。

 記事は続いて、ドイツが成功した最大の理由はイノベーションに対する意識の高さであると論じ、その根拠として自動車メーカーや家電メーカーの新製品発表頻度の高さを挙げた。さらに、ドイツからは「経済発展においては、自分たちの得意分野に軸足を置き、行うべきことと、行わないことを明確にすることが重要であることが分かる」と強調した。

 ドイツにはマイスター制度と呼ばれる高等職業能力資格認定制度が存在する。ドイツでは職人は社会的地位は日本に比べて相対的に高いと言えるが、こうした社会制度がドイツ製品の品質を支えていると言えよう。日本でもマイスター制度を模した日本版マイスター制度の導入が検討されているが、果たして日本のものづくりが復活する時は訪れるのだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)