関連画像

写真拡大

日弁連は2月10日、記者会見を開き、昨年12月に実施した「全国一斉生活保護ホットライン」の結果を発表した。全国の52の弁護士会、300名超の弁護士が、生活に困っている人たちからの相談に応じた。のべ1483件の相談が寄せられた。

日弁連貧困問題対策本部委員の眞鍋彰啓弁護士は、「甥に養ってもらえと言われ追い返されたなど、福祉事務所が違法の疑いがある対応をしているケースが散見された」として、保護申請を受け付けない「水際作戦」が行われていると指摘した。

また、高齢者からの相談がとくに増えていることも、今回の調査結果の特徴だ。生活保護を利用していなくても、年金の額が低かったり、そもそも年金が受給できないため、将来に不安を感じている高齢者からの相談も多かったそうだ。

眞鍋弁護士は「生きていれば誰でも高齢者になる。高齢者の貧困の問題を、生活保護という1つの社会保障の問題と捉えるのではなく、年金、医療、福祉、介護サービスを含む、社会保障全体のあり方を考える必要がある」と訴えた。

●別居していても「夫がいるので、生活保護は受けられない」

今回の電話相談には、次のようなケースが寄せられたという。

「50代女性:夫のDVから逃れるため他県に転入し、支援社宅に厚意で住ませてもらっている。しかし、生活保護の相談に行っても、『働け』と言われるだけで、追い返される。DVやストーカー被害のことや、病気で働きにくいことを説明しても取り合ってくれない」

「80代女性:家賃2万円台で、収入は老齢年金と遺族年金で月額約7万円のみ。冬になって暖房費に回すお金がなく、生活が厳しい。市議会議員を通じて市に確認したところ、『貯金が3万円あるので生活保護は受けられない』と言われた」

「夫と別居し、2年以上経っている。月に2万円の収入しかないので、生活保護の申請をしようとしたところ、夫がいるので、生活保護は受けられないと言われた」

生活保護を受給しているという人からも、生活に対する不安の声が寄せられた。

生活保護をやめたい。自由度が低い。どこかに行くこともできない。体調不良で仕事もないので、生活保護をやめると困るが、生活保護は嫌なのでやめたい。どうしていいか分からない。生活保護はやめた方がいいのか、やめない方がいいのか分からない」

(弁護士ドットコムニュース)